先に答えをお伝えすると、氏名・生年月日・連絡先・加入している保険がわかる情報。この4つを伝えれば、マイナ保険証や資格確認書がなくても保険診療を受けられます。
厚生労働省が示している取り扱いです。
今やること受付で、氏名・生年月日・連絡先・加入している保険がわかる情報の4つを伝える(伝えるのは1分ほど・この手続き自体は無料)
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令和8年熊本地震について(2026年7月29日時点)
厚生労働省が2026年7月28日付で関係団体・都道府県へ通知したのは、次の3つです。免除や減免が全員に決まったという意味ではなく、その取り扱いができることの周知にあたります。
- マイナ保険証や資格確認書を提示できなくても、医療保険で受診できる
- 一部負担金や保険料の徴収猶予・減免ができることを、保険者へ改めて周知
- オンライン資格確認の「緊急時医療情報・資格確認機能」を使えるようにした
出典=厚生労働省「令和8年熊本地震について」第12報(2026年7月29日確認)
災害時に窓口で伝える4つ|マイナ保険証がなくても保険診療を受けられます
いちばん知ってほしいところから。
災害でマイナ保険証や資格確認書を持ち出せなかった場合、次の4つを受付で伝えれば保険診療として受診できます。
厚生労働省が保険証なしで医療機関を受診できますとして示している内容です。
4つ目が少しややこしいところ。ただ、記号番号を覚えている必要はありません。「どこの保険に入っているか」が受付でたどれれば足ります。
従来の保険証からの切り替えが進んだので、マイナ保険証だったか資格確認書だったか、自分でもあやふや。そんな場合もあるかと思います。
そこも含めて、窓口で言葉にしてもらえれば動けます。
「マイナ保険証も資格確認書も持ち出せませんでした。名前と生年月日、勤務先をお伝えします」
この一言で、受付は動けます。番号がわからないことを謝る必要も、遠慮する必要もありませんよ。
「10割払ってください」と言われたら
災害時の取り扱いは、そのつど国から通知が出て現場に下りてきます。窓口の担当者がまだ把握できていないことも、実際にあるところ。
その時は、こう聞いてみてください。
「災害で資格の確認ができない場合の取り扱いで、お願いできますか」
それでも全額の支払いになった場合、あとから精算・還付を受ける道が残っています。領収書は捨てずに取っておいてください。
医療費はどうなる?3つのパターン
窓口のお金は、状況で3つに分かれます。
② 免除の対象になるのはどんな人か
一部負担金の免除は、災害が起きるたびに国が通知を出して決まる仕組みです。
過去の運用では、災害救助法が適用された市町村に住所があり、次のいずれかに当てはまることを窓口で申し出た人が対象とされてきました。
- 住まいが全半壊・全半焼・床上浸水、またはこれに準ずる被災をした
- 主たる生計維持者が亡くなった、または重い病気やけがを負った
- 主たる生計維持者が行方不明である
- 主たる生計維持者が事業を廃止した、または休止した
- 主たる生計維持者が失職して、現在収入がない
出典は、いちばん新しい例として厚生労働省「『令和6年能登半島地震』で被災された方々の医療機関等での窓口での支払いは不要です」/2026年9月30日に確認。
国民健康保険や後期高齢者医療でも、同じ考え方の免除が示されてきました。
ここで大事なのは証明書を先に用意しなくてよい点。窓口での申し出で対応される運用が基本でした。
「自宅が床上浸水しました。一部負担金の免除の対象になりますか」
ただし対象になる範囲も期間も、災害ごとに変わります。最終的な判断は、加入している健康保険の窓口へ。
令和8年熊本地震でも、7月28日付で「一部負担金等の徴収猶予と減免ができる」ことが協会けんぽ・健康保険組合・支払基金などへ改めて周知されました。
国民健康保険と後期高齢者医療は、保険料(税)と一部負担金の減免ができることが各都道府県へ周知されています。どちらも自動で決まるものではないので、加入先への申し出が入口です。
③ もう払ってしまった場合
免除の対象なのに窓口で払っていた時は、還付の申請ができます。協会けんぽの場合、該当する理由の証明書類を添えた申請書を、都道府県支部へ郵送する流れ。
領収書がなくても手続きできる場合はありますが、あるほうが早いです。避難生活の中でも、医療機関の領収書だけは1か所にまとめておく。それだけで、あとの自分が助かります。
薬はどうする?処方箋がなくても受け取れる場合があります
避難した人にとって、いちばん困るのが持病の薬。
大規模な災害では、医師の受診や処方箋の交付が難しい場合に、処方箋がなくても薬を渡せる取り扱いがあります。
令和8年3月31日付の厚生労働省の通知で、災害ごとの個別の通知を待たずに適用される形に整理されました。
能登半島地震(2024年1月)の通知でも、薬剤服用歴やお薬手帳などで飲んでいる薬を確認するよう示されています。
ただし、いつでも誰でも、ではありません。薬局で見られるのは主に次の3つです。
- 医師の診療を受けられない事情があるか:交通の遮断や、近くの医療機関の状況など
- 飲んでいる薬の内容を確認できるか:主治医、連絡が取れない時は他の医師に
- あとから処方箋を出してもらえるか:事後に発行されることが前提です
医療機関とどうしても連絡が取れない時は、別の道もあります。飲んでいた薬を失った被災者で、内容が安定した慢性疾患の薬。それがお薬手帳や薬の包装から分かる場合です。
この時も、あとで医師に確認する前提になっています。
決めるのは薬剤師です。「必ずもらえます」とは言い切れないところ。それでも、手ぶらで相談していい制度がある、とだけ知っておいてください。
薬局で確認されるのはいま何を飲んでいるかです。手がかりになるものを挙げます。
- お薬手帳:いちばん強い。写真をスマホに残しておくだけでも役に立ちます
- 薬の包装(シート)や説明書:名前と量が読み取れれば手がかりに
- 薬局の薬歴:いつもの薬局が動いていれば、記録が残っています
どれもない場合は、避難所の救護所か、避難所を管理しているスタッフへ相談を。自治体の案内でも、この順番が示されています。
「血圧の薬が明日で切れます。お薬手帳はありませんが、薬局は◯◯町の△△薬局でした」
薬の名前が言えなくても大丈夫。かかりつけの薬局名と、いつからその薬かがわかれば、たどれる可能性が上がります。
処方箋を持って避難できた時は、4日以内に
見落としやすいのが、処方箋そのものの期限。
処方箋が使えるのは交付された日を含めて4日以内です。休日や祝日も、この4日に入ります。4日は短いです。
医師が別の使用期間を書いている場合は、その日まで使えます。
災害の取り扱いでも、この期限が延びる案内は出ていません。
避難の移動や停電で、数日はあっという間。過ぎてしまった時は、処方した病院か薬局へ先に電話を。処方した医師の確認が必要になるためです。
「先週いただいた処方箋が、4日を過ぎてしまいました。今からお薬を受け取れますか」
責められることではありませんよ。災害のあとは、この電話がいちばん早い道です。
窓口で対応する側の手順は、災害時の院外処方|薬局で確認される3つと医療事務の伝え方にまとめました。
受付に立つ日があるなら、こちらもどうぞ。
マイナ保険証もカードも失くした時
「マイナンバーカードごと流された」というとき。ここも受診をあきらめる必要はありません。
災害救助法が適用されると、国の指示でオンライン資格確認のシステムに緊急時医療情報・資格確認機能が立ち上がります。災害モードと呼ばれる仕組みです。
マイナンバーカードがなくても、氏名・生年月日・性別・住所で患者さんを探して、医療機関が薬剤情報や特定健診情報を確認できる仕組みです。
災害ごとの取り扱いは、医療情報基盤・診療報酬審査支払機構(旧・社会保険診療報酬支払基金)の災害関連情報に通知としてまとまります。
つまり、カードがなくても「この人がどんな薬を飲んでいたか」を医療側がたどれる場合がある。初めて行く病院でも、説明の負担が減ります。
令和8年熊本地震では、この緊急時機能が7月28日から使えるようになりました。動く範囲、つまり対象の医療機関・薬局と期間は、そのつど国が決めます。
もちろん、停電や通信断でシステムそのものが使えないこともあります。その時に戻るのが、最初に書いた4つの情報です。
受付側は何をしているのか|医療事務の災害時対応
ここからは、受付に立つ医療事務向けのこと。患者さんの側も、窓口の中で何が起きているか知っておくと、伝え方が変わります。
停電でシステムが止まった時
電子カルテもレセコンもカードリーダーも、電気が止まれば一斉に使えません。呼び出しの機械も、領収書のプリンタも同じ。
ここで切り替わるのが、手書きの受付台帳です。来院順に名前と生年月日、保険の情報を書いていく形。控えを見ながらでも進められます。
慌てるときですが、紙とペンがあれば受付は続きます。
新人さんが覚えておくと落ち着けるのは、この3つ。
- 受付の最低情報は紙で取れる:氏名・生年月日・連絡先・保険がわかる情報。この4つは災害時の患者さん側の案内と同じです
- 会計は後日で構わないことがある:災害時は請求を保留にする判断が病院として出ることも。自分ひとりで決めず、上長へ
- 紙の運用は復旧後の入力までがセット:あとでレセプトに乗せるところまでが仕事
事前に控えておきたいもの
停電してから探しても、間に合いません。手元のメモ帳に控えておくと、当日の自分が助かるもの。
- 福祉事務所・保険者・システムベンダーの電話番号
- 手書き用の受付票・診察券の様式がどこにあるか
- 自分の病院が災害時にどんな体制になるか。マニュアルの置き場所も
災害時の対応マニュアルは、多くの病院で作られています。読んだことがなければ、落ち着いている時期に一度めくっておくと安心ですよ。
紙で受け付けたあとの請求は、資格の判明状況で書き方が変わります。
手順は災害時のレセプト請求|保険者が不明な時の書き方にまとめました。
いま備えられること3つ
大きな備蓄のことではなく、今日できることだけ。
- お薬手帳をスマホで撮っておく:紙が流されても、画像が残れば手がかりになります
- 資格確認書があれば、それも撮っておく:記号番号まで写るので、窓口での確認が早くなります。マイナンバーカードの表面に保険の記号番号は書かれていないので、マイナ保険証だけの場合は、勤務先か保険者の名前をメモしておくと安心です
- 常用薬は数日分を持ち出し袋へ:3日から7日分を目安にすすめている自治体が多いです
子どもが何人かいる家庭なら、お薬手帳を1つのファイルにまとめておくと、避難する時に迷いません。写真を撮っておくのも同じ効果があります。
よくある質問(FAQ)
Q. マイナ保険証も自宅に置いてきた場合はどうなりますか?
受診できます。カードがなくても、氏名・生年月日・連絡先・加入している保険がわかる情報を伝えれば保険診療の扱いです。
災害救助法が適用されていれば、医療機関側が薬剤情報を確認できる特例の仕組みも動きます。
Q. いったん10割を払いました。お金は返ってきますか?
戻る道があります。同じ月のうちにマイナ保険証や資格確認書を持参できれば、その場で精算してくれる医療機関も多いです。
免除の対象者であれば、加入先へ還付の申請ができます。領収書は保管しておいてください。
Q. 免除の対象かどうか、病院の窓口で判断してもらえますか?
窓口では「申し出を受けて処理する」までです。対象の範囲を決めるのは国と保険者のため、はっきりしない時は加入している健康保険へ確認するのが確実。
受付で断られたわけではないので、そこは気にされませんように。
Q. 難病や小児慢性の受給者証も持ち出せていません。どうなりますか?
受給者証がなくても受診できる取り扱いが示されます。原爆・感染症・難病・小児慢性・特定疾患・肝炎などの公費負担医療が対象です。
急ぐ場合は、指定を受けていない医療機関でも受診できる形。令和8年熊本地震でも、7月28日付で同じ内容の事務連絡が出ています。
Q. 避難先が県外でも、いつもの病院と同じように受診できますか?
できます。健康保険は全国で使える仕組みなので、避難先の医療機関でも同じ考え方です。
初めての病院では、飲んでいる薬と持病を先に伝えると診察が早くなります。
Q. 保険料を滞納している場合は?
滞納があっても、災害時の取り扱いが受けられない決まりにはなっていません。まずは受診を。
事情がある場合、保険料そのものの減免や猶予が用意されることもあります。市区町村の窓口へ相談を。
Q. 家族の分もまとめて受付できますか?
できます。ただし4つの情報は1人ずつ必要です。
子どもの分は生年月日があやふやになりがちなところ。避難の前に、家族全員分をメモか画像で持っておくと安心です。
災害時に覚えておきたい線引き
- マイナ保険証や資格確認書がなくても受診できる:氏名・生年月日・連絡先・加入している保険がわかる情報の4つ
- お金は3パターン:通常の自己負担か、免除か、払ってから還付か。免除の範囲は災害ごとに国が決めます
- 薬はあきらめない:受診や処方箋の交付が難しい時は、お薬手帳などで確認して渡す取り扱いが示されてきました
災害時に必要なのは制度に詳しくなることではありません。「これだけ言えば通じる」を1つ持っておくこと。
資格確認や医療証まわりの基本は、無料の受付で固まらない制度早見表PDFにもまとめています。
対応がひと段落したあと、算定の点数を確認したい時は、算定ナビで検索できますよ。
登録は要りません。正式名称があやふやでも、略語やかなで大丈夫ですよ。
原文|厚生労働省が示している文そのもの
要約だけだと、窓口で「本当にそうなんですか」と聞かれた時に返せません。もとの文を、書き換えずに並べました。スマホの画面を見せるだけで早くなることもありますね。
① 保険の資格を示せない時(厚生労働省)
保険証を持たずに避難しているなどのため、保険医療機関等で保険証を提示できない場合には、
[1] 氏名、[2] 生年月日、[3] 連絡先(電話番号)、[4] 加入している医療保険者が分かる情報(被用者保険の場合は事業所名、国民健康保険の場合は住所及び組合名、後期高齢者医療制度の場合は住所)、
を伝えていただければ、保険証がなくても保険診療を受けることができます。
出典:「保険証なしで医療機関を受診できます」(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121713.html (2026年9月16日に利用)
② 令和8年熊本地震で出された事務連絡(第12報「8 医療保険関係」より抜粋)

出典:厚生労働省 熊本を震源とする地震について 第12報・令和8年7月29日07時00分現在/資料を見る/2026年9月16日に利用・該当部分だけ切り出し/画像はタップで拡大
同じページの文字を起こすと、次のとおり。
○ 被災に伴い被災者がマイナ保険証又は資格確認書等を保険医療機関に提示できない場合においても医療保険による受診が可能である旨について、関係者に対する周知を、関係団体、都道府県、地方厚生(支)局に要請(7/28)。
※「令和8年熊本地震に伴う災害の被災者に係るマイナ保険証又は資格確認書等の提示等について」(令和8年7月28日付け保険局医療課事務連絡)を送付(7/28)。
(中略)
○ 全国健康保険協会、健康保険組合、健康保険組合連合会、社会保険診療報酬支払基金及び地方厚生(支)局に対して、災害その他の特別の事情がある被保険者に係る一部負担金等の徴収猶予及び減免を行うことができる旨を改めて周知。
※「災害により被災した被保険者等に係る一部負担金等及び健康保険料の取扱い等について」(令和8年7月28日付け保険局保険課事務連絡)を送付(7/28)
(中略)
○ 被災者がマイナンバーカードを保険医療機関等に持参できない場合においても、オンライン資格確認システムで薬剤情報等が提供可能となる緊急時機能のアクティブ化を実施(7/28)。関係者に対する周知を、関係団体、都道府県、地方厚生(支)局に要請(7/28)。
※「 令和8年熊本地震に係るオンライン資格確認等システムにおける「緊急時医療情報・資格確認機能」をアクティブ化する医療機関・薬局の範囲・期間について」(令和8年7月28日付け保険局医療介護連携政策課、医薬局総務課、社会・援護局保護課事務連絡)を送付(7/28)。
出典:「熊本を震源とする地震について(第12報)」(令和8年7月29日07時00分現在・厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/content/001729664.pdf (2026年9月16日に利用)
同じ「8 医療保険関係」には国民健康保険課あて・高齢者医療課あての2件も並んでいて、そこは(中略)として省いた形。
③ 処方箋がなくても薬を渡せる根拠(能登半島地震の事務連絡)
4 処方箋医薬品(法第49条)
令和6年能登半島地震による災害の被災地の患者に対する処方箋医薬品の取扱いについては、「薬局医薬品の取扱いについて」(平成26年3月18日付け薬食発第0318第4号厚生労働省医薬食品局長通知)の第1の1の(2)①に示したとおり、法第49条第1項の規定における「正当な理由」に該当し、医師等の受診が困難な場合、又は医師等からの処方箋の交付が困難な場合において、患者に対し、必要な処方箋医薬品を販売又は授与することが可能であること。
なお、薬剤服用歴、お薬手帳及びマイナンバーカード等を活用し、患者の服薬情報を確認するよう、努めること。
出典:「令和6年能登半島地震による災害に伴う医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等に係る取扱いについて」(令和6年1月2日事務連絡・厚生労働省医薬局総務課、医薬局医療機器審査管理課、医薬局監視指導・麻薬対策課)https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc8192&dataType=1&pageNo=1 (2026年9月16日に利用)
法令・通知・事務連絡は、著作権法13条で著作権の対象になりません。厚生労働省ホームページの資料も、出典さえ書けばそのまま転載してよい決まりです。
だから要約で終わらせず、原文のまま載せました。
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■ 著者プロフィール3つの総合病院で医療事務10年以上、うち1つで元採用担当を3年。
現在はフルリモートの医療事務として算定業務を担当。3児の父。
「もうひとりで悩まない医療事務」を届けるため発信しています。
最終更新日:2026年7月31日(処方箋の期限と、薬を受け取る条件を追記)