先に答えをお伝えすると、エラー一覧に並んだ行は、全部が「間違い」ではありません。
エラーコードの番台ごとに、再請求が必要なもの、返戻になるもの、正常として処理されるものが分かれています。仕分けが先。ここを飛ばすと、直さなくていい行に時間を使ってしまいますね。
今やることエラー一覧の番号の先頭(番台)を見る。4800番台なら、そのまま請求確定してよい。
▼ 4ステップへ
レセプトのエラーは、5つの種類に分かれています
画面に並ぶと、どの行も同じに見えます。実際には、手の動かし方が違うものが混ざっていました。
支払基金のチェック一覧、医科・令和8年7月版の冒頭には、エラーコードの番台ごとに意味が書かれています。
いちばん覚えておきたいのが、最後の行です。
ASPエラー4800番台は正常分として処理されるため、エラー分を含み請求確定願います
支払基金の公式Q&Aに、こう書かれています。エラーと表示されていても、そのまま請求確定してよい、という意味です。
4000番台も「正当となる」場合が含まれる区分。
直さないと戻ってくるのは1000番台・2000番台・3000番台で、4000番台は条件によって結論が変わります。
画面では「受付不能」と「要確認」に分かれて出ます
番台の数字を毎回見るわけではありません。実際の送信状況画面に出るのは2つの件数です。
- 受付不能件数:そのままでは受け付けられない分
- 要確認件数:内容を確認する必要がある分
件数の数字をクリックすると、受付・事務点検ASP結果リストが開きます。エラーコードと文言は、ここで確認する形です。
レセプトのエラー対応の手順|見る順番は4ステップ
エラーが出た時、先にレセコンの設定画面を開く人が多い印象です。でも、順番は逆のほうが早いです。
- エラーの文言を最後まで読む:条件付きの案内が書かれていることがあります
- 手元で分かるものを見る:患者様の年齢と負担割合、厚生局から届いた受理通知
- レセコンの設定を見る:証や受理通知と食い違っている場所だけ
- それでも合わなければ問い合わせ:エラーの文言をそのまま伝える
証と受理通知のほうが先。理由は単純で、レセコンの画面は自分の入力結果を映しているだけだからです。正しいかどうかは、患者様の証と受理通知の側にしかありません。
見落としやすいのが、条件つきの案内です
たとえば、今の時期に多く出ているのがこの1行。
届出と異なる施設基準を算定しています。(画診共同、他医連携、臨時的取り扱い等除く)地方厚生(支)局長等へ届出を行っているかご確認ください。届出が行われている場合(受理番号が発行されている場合)はそのまま請求願います。
前半だけ読むと「間違えた」と受け取ってしまうところ。最後まで読むと、受理番号が発行されていればそのまま請求してよいと書かれています。
条件が書かれているエラーは、4000番台に多いです。文言を最後まで読む。それだけで直す件数は減りました。
「エラーの文言はこちらです。(そのまま読み上げて)このまま請求してよいか、確認をお願いします」
自分のエラーはどれ?|次に見る場所
エラーの文言を読んだら、次にどこを見るか。この3行で決まります。
①|特記事項のエラーで見る3か所
所得区分(区ア〜区キ)で指摘が返ってくるときは、だいたい次の3つ。見る順番は、患者様の年齢からです。
70歳以上のレセプトが空欄になっている
高齢受給者のレセプトは、特記事項に所得区分または多数回該当の記録が必要です。支払基金のチェック一覧には、こう書かれています。
高齢受給者一般レセプト及び高齢受給者7割レセプトについて、特記事項に所得区分又は多数回該当が記録されていません
国民健康保険団体連合会のチェック一覧では、対象がもう少し広く書かれていて、後期高齢者一般レセプト・後期高齢者7割レセプトも同じ扱いになっています。
見落としやすいのが、上限額に届いていない患者様。「限度額に関係ないから区分は要らない」と考えて空欄のまま出すと、そこで返戻を受けます。
会計の金額が小さい患者様ほど、区分の記録とは関係がないように見えてしまう。そこがやっかいでした。
原文にも、金額や入院の条件は書かれていません。入院がなくても、金額が小さくても同じ扱いです。
調剤は少し違います。調剤版のチェック一覧で求められているのは区ア〜区オの5つだけ。多数回該当は記録できないと、別のチェックにも明記されています。
医科・DPC・歯科と調剤の区分早見表
負担割合と区分がかみ合っていない
レセプト種別ごとに、記録できる区分が決まっているところ。ここは世代で分けて覚えると早い。
70〜74歳で組み合わせを外れると返戻です。
8月に多い例が、8月1日に負担割合が変わった患者様で、患者登録に7月までの区分が残っているケース。
後期高齢者と国保の負担割合は、毎年8月1日を基準に判定されます。7月と違う区分になる患者様が出てくる時期です。
もうひとつ、間違えやすいのが後期高齢者の低所得の区分。区分Ⅱ・Ⅰは、区キではなく区オです。
記載要領の区キの条文にも、「低所得者の世帯」を除くと書かれています。
「8月から負担割合が変わっていますので、患者登録の区分もあわせて確認します」
70歳未満なのに、証がないのに入っている
70歳未満は、見方が少し変わりますね。
限度額適用認定証、マイナ保険証で確認した限度額情報、適用区分が書かれた受給者証。どれも出ていない時は、空欄が正しい形です。
多い原因が、認定証の有効期限が切れたあとも前の区分が患者登録に残っている場合。今の証を確認してから直します。
ただし例外が2つ。肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業の公費がある入院レセプトと、一部負担金が記録されているのに所得区分がない場合は、70歳未満でも指摘の対象です。
なお特記事項の欄には、所得区分以外の記載も入ります。長期の「長」など。エラーを直す時に欄ごと消すと、別の返戻を呼びます。
②|ベースアップ評価料のエラーで分かれる3つのケース
「先月分は請求できたのに、今月分だけ全部エラー」という形で相談が上がるのが、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)です。
原因が集まっているのは届出まわり。確認するのは2つだけです。
前提|点数は届出の区分で2段階に分かれます
告示の注5には、継続して賃上げに取り組む届出をした医療機関について「所定点数に代えて」この点数で算定すると書かれています。
加算ではなく、置き換えです。
レセプトに載っている点数と、受理された届出の区分。この2つがずれていると、エラーの元です。
見るのは2か所です。①厚生局から届いた受理通知で、届出が受理されているか、注5の区分か、受理番号を確認します。
②レセコンの設定点数は、初診時が17点か23点か。
組み合わせで、次の3つに分かれます。
受理通知と設定点数の早見表
ケース①|届出も点数も合っている
そのまま請求してよい場合があります。前半で見た、条件付きの案内が書かれている指摘に当たる時です。
受理番号が発行されているなら、エラー表示のままでも請求してよいと案内されている形。とはいえ判断に迷うときなので、確実なのは審査支払機関への問い合わせです。
ケース②|注5で受理されているのに、点数が前の設定のまま
起こりやすいのが、設定の取り残しです。継続賃上げの届出(注5)が受理されているのに、レセコンの設定が初診時17点・再診時等4点のまま残っている状態。
23点・6点に直して再送信します。逆のずれ、届出は基本なのに23点・6点で算定している形も、直す手順は同じ。
設定を直す場所は、レセコンごとに違いますね。分からなければサポートへ。
「継続賃上げの届出で受理されています。外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)の点数設定を確認したいのですが」
ケース③|受理が確認できない
届出は、受理された時期で算定を始められる月が変わります。月末までに受理された分は翌月から。
ただし、月の最初の開庁日に受理された場合はその月から算定できると、届出の案内に書かれています。
勤務先の受理がどちらに当たるかは、厚生局に聞くのが確実です。受理が確認できるまでは、評価料を外して請求する形です。
届出の内容に不備があって、再提出になっている場合もあります。過去の診療分を遡って算定できるかどうかも含めて、厚生局へ確認してみてください。
令和9年6月から、点数が変わります
もうひとつ、先に知っておくと安心なことを。
告示には、令和9年6月以降の点数も書かれています。基本の届出は所定点数の2倍に、注5の届出は初診時40点・再診時等10点。
今の設定のままだと、その月からまた同じ形のエラーが出ます。
来年になりますが、レセコンの更新予定を覚えておくと、同じ月初を繰り返さずにすみました。
レセプトのエラー、問い合わせ先の分け方|3つの窓口
判断がつかない行が残ったら、聞いてしまうのがいちばん早いところ。聞く相手は、内容ごとに決まっています。
支払基金の公式Q&Aでも、エラーの詳細は請求先の審査支払機関へ、データの作成方法はレセコンのベンダーへ、と案内されています。
電話をかける前に、受理通知とエラーの文言を手元に出しておくと、やり取りが短く済みます。文言はそのまま読み上げるのがおすすめです。要約しないほうが、早く進みました。
レセプトの請求締切と請求確定|10日・12日のしくみ
ここからは、背景です。日付は3つ。ここが頭にあると、慌てるときはかなり減りました。
- 10日:請求省令に基づく提出の締切
- 11日・12日:エラー分だけ訂正して請求確定できる期間
- それ以降:翌月の請求へ
ここで知っておくと安心なのが、請求確定のしくみです。
支払基金の公式Q&Aによると、10日までに送信されたレセプトのうち、エラー分、つまり受付不能分と要確認分を除いた分は、システム側で自動的に請求確定されると書かれています。
つまり、送信さえ終わっていれば、正常な分は自分で確定操作をしなくても流れる形。手を動かす必要があるのは自動確定されないエラー分だけです。
12日までに請求確定しないと、その分は請求対象から外れます
同じQ&Aに、続けてこう書かれています。
当該期間でエラー分の請求確定がされない場合、エラー分は請求対象となりませんのでご注意ください
エラーの行を残したまま12日を過ぎると、その分は今月の請求に入らず、翌月に回ります。
そしてこの11日・12日の訂正は、10日までに送信した分に対する運用です。
「12日まで時間がある」と思って送信そのものを後ろ倒しにすると、訂正の対象にも入りません。
先に送る。直すのはそのあと。順番はこちらのほうが安全でした。
混み合う時間帯を外すと、待ち時間が減ります
送信してから結果が出るまでの時間も、支払基金が公表しています。混雑時でも翌日の正午までには結果が表示される仕組みで、実際は即時に返ることが多い形。
混みやすい時間帯は、請求開始日と締切前日の9時から10時、13時から16時だと案内されています。
エラーが多そうな月は、この時間帯を外して送ると、結果待ちは短くなりました。
なお2026年8月は、10日が月曜。土日をはさむので、金曜の時点でどこまで進んでいるかを見ておくと安心です。
レセプトのエラーを直す前に、気をつけたい3つ
- エラーの表示はレセコンによって違う:この記事の画面名や操作は、あくまで一般的な形です。表示される文言をそのままシステム会社へ伝えるのが早道
- 8月は割合と区分が切り替わる時期:7月までの設定が残っていないか、患者登録の側を先に見る
- 8月31日締切の中間報告とは別のもの:賃金改善の報告書は、レセプトのエラーとは関係ありません
なお、この記事で扱っているのは、医科の外来だけ。歯科・調剤・訪問看護は、別のチェック表です。最後の扱いは、病院のルールが優先。
点数や算定条件を原文で確認したい時は、項目名から厚生労働省の公式資料へ進める算定ナビが使えます。登録不要で、名称・略語・9桁コードから検索できる形です。
よくある質問(FAQ)
Q. エラーが出たまま送信してしまいました。どうなりますか?
エラーの種類で変わります。4800番台なら正常分として処理されるので、そのままで問題ありません。
3000番台であれば、翌月に返戻として戻ってくる形。戻ってきた分は修正して翌月に請求できるので、そこで終わりではありません。
Q. 10日を過ぎてからエラーに気づいた場合は?
10日までに送信した分であれば、11日・12日に訂正して請求確定できます。
この期間に請求確定しないと、そのエラー分は今月の請求対象から外れる形。10日までに送っていない分は、そもそも翌月の請求です。
Q. 正常な分は、自分で請求確定の操作をしなくていいのですか?
10日までに送信していれば、エラー分を除いてシステム側で自動的に請求確定されます。支払基金の公式Q&Aに、そう書かれています。
手を動かす必要があるのは自動確定されないエラー分だけ。とはいえ画面で状態を確認しておくと安心。
Q. 先月分は通ったのに、今月分だけエラーになるのはなぜ?
届出が受理された月と、レセコンの点数設定を切り替えた月がずれていると、この形です。
先月分が通っていても、設定が正しいとは限りません。受理通知の区分と、レセコンの点数。この2つを突き合わせるところから始めてみてください。
Q. 特記事項の区分を消してしまったかもしれません。空欄で出していいですか?
70歳以上のレセプトなら、空欄では返戻を受けます。70歳未満で証が出ていない場合は、空欄が正しい形。
年齢によって答えが逆になるところなので、患者様の年齢から確認してみてくださいね。
Q. 後期高齢者の区カ・区キを入れたら、エラーになりました
区カ・区キ、つまりコード41・42は、支払基金では定められていないコードとして扱われます。後期高齢者医療を審査するのは国保連合会なので、そちら宛のレセプトで使う区分です。
Q. 調剤薬局でも、同じ区分を入れるのですか?
必要なコードが違います。調剤で求められるのは区ア〜区オの5つで、多数回該当は記録できません。
医科と同じつもりで入れると、そこでエラーが出ますね。
Q. ASPの結果が返ってきません。壊れているのでしょうか?
混雑時でも翌日の正午までには表示される仕組みです。9時から10時、13時から16時は、利用が集中しやすい時間帯だと支払基金が案内しています。
締切前日にまとめて送ると待ちが長くなるので、余裕のある日に一度送っておくと安心でした。
レセプトのエラーは、この順番で潰していけます
- エラーの種類を分ける:4800番台はそのまま。4000番台は文言を最後まで読む
- 証と受理通知から見る:患者様の年齢・負担割合・受理通知。レセコンの画面はそのあと
- 10日までに送信する:正常分は自動で請求確定される
- 11日・12日にエラー分を訂正して請求確定:ここを過ぎると今月の請求から外れる
- 残った行は聞く:請求の可否は審査支払機関、届出は厚生局、設定はレセコンのサポート
エラー一覧を前にすると、全部を自分で直さなければいけない気持ちになりました。でも、そうとは限りません。実際に必要なのは、直す行と確認だけで終わる行を分けること。
その一手間で、月初の残業が短くなるはずです。
資格確認・医療証まわりの基本は、無料の受付で固まらない制度早見表PDFにもまとめています。
参考にした資料
- 社会保険診療報酬支払基金「受付・事務点検ASPチェック一覧(医科)令和8年7月版」「同(調剤)」
- 社会保険診療報酬支払基金「オンライン請求に関するご質問」2025年3月27日更新
- 国民健康保険中央会「オンライン受付・事務点検ASPチェック一覧(医科)」
- 厚生労働省「診療報酬請求書等の記載要領等について」保医発0327第2号
- 厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部を改正する件」令和8年厚生労働省告示第69号・ベースアップ評価料抜粋
- 厚生労働省「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」届出受理後の措置等
いずれも2026年8月7日に原文を確認しています。制度は改定で変わるため、実際の対応は最新の資料と病院のルールにあわせてください。
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■ 著者プロフィール3つの総合病院で医療事務10年以上、うち1つで元採用担当を3年。
現在はフルリモートの医療事務として算定業務を担当。3児の父。
「もうひとりで悩まない医療事務」を届けるため発信しています。
最終更新日:2026年8月7日