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ベースアップ評価料が給料に反映されない?医療事務が制度のからくりを解説

お金と制度by ゆう|医療事務ブロガー公開日 2026/06/30|最終更新 2026/09/17

「改定で給料が上がると聞いたのに、明細が増えていない」「事務は対象外と言われた」という声をよく聞きます。

中には「賞与でまとめて払う」と言われて、釈然としないまま過ごしている人も。

その気持ち、よく分かります。

この疑問に、3つの総合病院で医療事務として10年以上、うち1つの病院で元採用担当を3年やってきた経験からお答えします。

この記事でわかること

  • 明細で今日見る2つの数字=基本給と総支給額
  • 令和8年6月から、事務職員が正式に対象になったこと(それまでは制度上、外されていました)
  • ベースアップ評価料とは何か。医療事務も実務で関わります
  • 「上がっていない」と感じるときに起きている3つのからくり
  • (Ⅰ)と(Ⅱ)の違いと、金額の決まり方
  • 本来のルール(決められた実施期間内に・全額職員へ・賞与だけはNG)と公的な根拠

結論から言うと、ベースアップ評価料で得たお金は、職員の賃金に充てるのが原則です。改善額の3分の2以上は毎月の給料へ回す決まりで、賞与だけにまとめたり、院の赤字の穴埋めに使ったりは原則できません。 ただし、そもそも算定していない職場もあります。

今やること給与明細の基本給と総支給額を、去年の同じ月と見比べる。
▼ 確認する視点へ

そして令和8年度の改定で、ひとつ大きく変わりました。令和7年度まで対象外だった事務職員が、令和8年6月から対象に入ります。

その仕組みを、届出や計算に関わってきた事務の立場と、採る側にいた経験の両方から整理していきます。

この記事は制度の考え方を整理したものです。金額や率、対象の範囲は改定や職場の状況で変わります。最終的な確認は、勤務先の事務長や厚生労働省の資料でお願いします。


ベースアップ評価料とは(医療事務も関わる賃上げの制度)

ベースアップ評価料は、看護職員や医療事務などで働く人の賃上げを進めるために設けられた診療報酬の点数。算定して得たお金を、職員の給料アップに充てる仕組み。

段階 お金の流れ
① 算定 患者さんの会計に評価料が乗る
② 入金 診療報酬として数か月後に病院へ入る
③ 賃上げ 職員の賃上げに充てるのが原則

この制度は、事務にとって他人事ではありません。

届出の書類づくりや、対象になる人件費の計算に、医療事務が関わる職場は多いです。

つまり医療事務は「賃上げを受け取る側」であると同時に、「制度を回す実務の当事者」でもあります。二重の立場です。

だからこそ、仕組みを知っておくと、自分の給料に何が起きているのかが見えてきますよ。

令和8年度の改定では、この評価料の対象が広がりました。すでに算定している職場でも、改めて届出が必要に。

「去年より手当が減った」と感じる場合、この届出や計算の切り替えが背景にあることも。


令和8年度の改定で、事務職員が正式に対象になりました

ここが今回いちばん大きな変更点です。

令和7年度までのベースアップ評価料は、事務職員が制度の上ではっきり外されていました。

厚生労働省の資料にある、変わった部分です。

それが改定後は「当該保険医療機関に勤務する職員」へ。例示にも事務職員が並びました。

もっと直接的な書き方も、同じ資料の別のページに。

ベースアップ評価料の対象となる職員を拡大する。
⚫ 事務職員、40歳未満の医師・歯科医師・薬局薬剤師も対象とする。(経営者、役員等は除く。)

賃上げの目標そのものも、職種で分かれました。事務職員は5.7%。ほかの職種の3.2%より高い水準です。

変わったところを並べると、こうなります。

令和7年度まで 令和8年度から
賃上げの目標 令和6年度2.5%+令和7年度2.0%=計4.5% 令和8年度3.2%(看護補助者・事務職員は5.7%)/令和9年度もさらに同じ幅
対象となる施設 保険医療機関、訪問看護ステーション +保険薬局
対象となる職員 主として医療に従事する職員(医師、歯科医師、専ら事務作業を行う事務職員等を除く) 当該保険医療機関に勤務する職員(40歳以上の医師・歯科医師・薬局薬剤師、業務委託の者、経営者・法人役員を除く)
職員の例 薬剤師・看護師・看護補助者 など 左に加えて、40歳未満の医師・歯科医師・薬局薬剤師、事務職員 など
充てて良い給与 基本給等の引上げと、それに伴う賞与・時間外手当・法定福利費の増加分 同じ。+夜勤手当も毎月の手当に準じて含めてよい

「専ら事務作業を行う事務職員等を除く」は、読み違えようのない書き方でした。それが「当該保険医療機関に勤務する職員」へ変わり、例示にも事務職員が並びます。

出典:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要 Ⅰ-2-1 医療従事者の処遇改善-①」9ページ(PDF)。3ページにも対象拡大の記載があります。2026年9月17日に確認。

これまで「事務は対象外だから」と説明されてきたなら、それは職場の判断ではなく、制度の建て付けだった可能性があります。

令和8年6月からは、その理由は使えません。


自分の職場がちゃんと還元しているか、確認する視点

今日やることは、給与明細の基本給と総支給額を、去年の同じ月と見比べること。仕組みが分かると、自分の職場の状況を落ち着いて確認できます。

事実を押さえるところから。

確認したい点は、次の4つ。

  • 給与明細に、ベースアップ分の手当や上乗せがあるか
  • 賞与だけでなく、毎月の基本給や定例手当が上がっているか
  • 「基本給に移し替えただけ」で、総額が変わっていないことになっていないか
  • そもそも、自分の職場が評価料を算定しているか

どれも明細と就業規則で確認できます。

これらは、事務長や経営側にていねいに尋ねれば確認できる範囲です。

「制度では改善額の3分の2以上を毎月の給料へ回すと決まっていると知ったのですが、うちはどう運用していますか」

こう聞く形なら、角も立ちにくいですよ。

医療事務は、届出や計算に関わる立場でもあります。仕組みを知ったうえで確認することは、わがままではなく、実務の当事者として自然なこと。


「上がっていない」と感じるとき、起きている3つのからくり

ここが分かれ道です。

「改定で上がるはずなのに、明細が変わらない」と感じるとき、その裏には、だいたい次の3つのどれかが隠れています。順番に見ていきますね。

からくり 起きていること
そもそも算定していない 評価料を届け出ていない職場がある
事務が対象から外れている 令和7年度までは制度上の対象外。令和8年6月からは配り方の問題
配り方が見えにくい 賞与にまとめる・手当を付け替える

① そもそも算定していない

ベッドのない診療所などでは、評価料を算定しなくても診療報酬が減らされる仕組みになっていません。そのため、あえて届け出ていない職場もあります。

届出には手間がかかるうえ、一度上げた基本給は職場の判断で簡単には下げられないため、あえて届け出ないまま様子を見ているところもあります。

「上がらない」のではなく「そもそも取っていない」ケースですね。

② 事務が対象から外れている

ここは令和8年6月を境に、事情が変わりました。

令和7年度までは、事務職員は制度の上で対象外。「事務は外している」という職場の説明は、制度どおりだったわけです。私が耳にした範囲でも、これがいちばん多い形でした。

一方で、経営側が「事務だけ外す理由がない」と判断し、自分たちの持ち出しで毎月きちんと上乗せしていた職場もあります。同じ制度を使っていても、配り方は職場ごとにばらばらでした。

令和8年6月からは、事務職員も対象に入ります。

だから、これから先も外れたままなら、理由は制度ではなく配り方のほうにあります。

③ 配り方が見えにくい

毎月の基本給に上乗せするのではなく、賞与でまとめて払う。あるいは、もともとの事務手当を減らして基本給に移し替える。

こうした「見せかけの昇給」だと、手取りが増えた実感はわきにくいですよね。


本来のルール(厚生労働省の資料より)

いちばん大事なのは、使い道です。ベースアップ評価料には、はっきりとした原則があります。厚生労働省や日本医師会の資料をもとに整理します。

算定して得たお金は、対象になる職員の賃金に充てるのが原則です。

ポイントは3つです。

  • 賃金の改善は、届出ごとに決められた実施期間の中で行うのが原則。算定を始める前から前倒しで賃上げしている職場もあります
  • 評価料で得た収入は、職員の賃金改善に充てる。院の赤字の穴埋めなど、ほかの用途には使わない
  • 改善額の3分の2以上は、基本給や毎月の決まった手当の引き上げに充てる。年末の賞与など一時金だけに回す形は、原則として認められません

この「3分の2以上」は、令和8年度の改定後も変わっていません。

[施設基準(抜粋)](5)(3)について、安定的な賃金改善を確保する観点から、当該評価料による賃金改善の合計額の3分の2以上は、基本給又は決まって毎月支払われる手当(以下「基本給等」という。)の引上げ(以下「ベア等」という。)により改善を図ること。
なお、恒常的に夜間を含む交替勤務制をとっている職場の職員に支払われる夜勤手当については、毎月支払われる手当に準じて基本給等に含めて差し支えない。

※外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)及び(Ⅱ)、歯科外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)及び(Ⅱ)並びに入院ベースアップ評価料においても同様。

出典:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要 Ⅰ-2-1 医療従事者の処遇改善-①」16ページ(PDF)。看護職員処遇改善評価料の施設基準として書かれていますが、末尾の※のとおりベースアップ評価料にも同じ扱いです。

つまり、「賞与でまとめて支給します」だけで終わらせると、原則から外れている可能性があります。毎月の給料そのものを底上げする。それがこの制度の狙いだからです。

改善額の配り方。3分の2以上を基本給や毎月の手当に乗せ、残りが賞与など。一時金だけに回すのは原則として認められていない

もうひとつ知っておきたいのが、お金の流れ。6月に算定しても、その分の診療報酬が実際に入ってくるのは数か月先です。

そのため、職場はいったん自分たちで賃上げ分を立て替える形です。「すぐに満額が反映されない」背景には、こうした事情もあります。

評価料の点数や算定条件を原文で確認したい時は、項目名から厚生労働省の公式資料へ進める算定ナビが使えます。登録不要です。


(Ⅰ)と(Ⅱ)は何が違うのか

届出の書類を見て、ここで迷う人は多いはずです。名前が似ているので、どちらを選ぶのかと考えてしまいます。

じつは、選ぶものではありません。

外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)は、初診や再診のたびに算定する決まった点数。令和8年6月からは初診17点、再診時等4点です。

対して(Ⅱ)は、(Ⅰ)だけでは賃上げの原資が足りない時に、その不足分を補うためのもの。区分が分かれていて、届け出る区分は足りない額で決まる仕組み。

外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ) 同(Ⅱ)
性格 全員が算定する基本の点数 (Ⅰ)で足りない分を補う
点数 初診17点/再診時等4点 区分1(初診8点)〜区分12(初診96点)
届出に要るもの 対象職員数 月額賃金総額・算定回数など
区分の数 なし 12区分(令和9年6月から24区分へ)

さらに、令和6年度・令和7年度から続けて賃上げをしてきた職場は、点数が上乗せされます。同じ(Ⅰ)でも初診23点、再診時等6点。

令和9年6月からは、どちらの区分もさらに上がる予定です。

その「続けて賃上げをしてきた職場」の条件にも、事務職員だけ別の水準が置かれています。

○ 令和8年度の対象職員(医師・歯科医師を除く。)の、当該評価料を算定する月時点の基本給等を合計し、令和6年3月時点と比較した場合に、5.5%(看護補助者、事務職員については、8%)に相当する水準以上のベア等を行った保険医療機関
○ 令和9年度の対象職員(医師・歯科医師を除く。)の、当該評価料を算定する月時点の基本給等を合計し、令和6年3月時点と比較した場合に、8.7%(看護補助者、事務職員については、13.7%)に相当する水準以上のベア等を行った保険医療機関

○ 基本給等総額の改善額については、保険医療機関の勤務職員(医師・歯科医師を除く)について、「看護補助者・事務職員」と「それ以外」の両群で求められる水準(令和8年度であれば、令和6年3月の基本給等総額に対し、前者が8%、後者が5.5%)が異なっているが、両群を合わせた改善額が、両群に求められる額の合計以上となっていればよい。

年度 看護補助者・事務職員 それ以外の対象職員 いつと比べるか
令和8年度 8%以上 5.5%以上 令和6年3月時点の基本給等
令和9年度 13.7%以上 8.7%以上 同上

医師・歯科医師は、この計算から除かれます。

出典:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要 Ⅰ-2-1 医療従事者の処遇改善-①」13ページ(PDF)/2026年9月17日に確認

事務職員に求められる水準は8%。ほかの職種の5.5%より高く置かれています。目標が高い分、配らなければ条件を満たせません。

外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)の点数

令和8年6月〜令和9年5月 令和9年6月〜
新たに賃上げ 継続的賃上げ 新たに賃上げ 継続的賃上げ
初診時 17点 23点 34点 40点
再診時等 4点 6点 8点 10点
訪問診療時(同一建物居住者等以外) 79点 107点 158点 186点
訪問診療時(それ以外) 19点 26点 38点 45点

同(Ⅱ)の点数(区分制・イ=初診または訪問診療/ロ=再診時等)

区分 令和8年6月〜令和9年5月 令和9年6月〜
新たに賃上げ 継続的賃上げ 新たに賃上げ 継続的賃上げ
区分1 イ8点/ロ1点 イ16点/ロ2点 イ8点/ロ1点 イ16点/ロ2点
… … … … …
区分12 イ96点/ロ12点 イ160点/ロ20点 イ96点/ロ12点 イ128点/ロ16点
区分24 区分なし 区分なし イ192点/ロ24点 イ256点/ロ32点

令和8年度は12区分まで。令和9年6月から24区分に広がります。

出典:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要 Ⅰ-2-1 医療従事者の処遇改善-①」5ページ・6ページ(PDF)/2026年9月17日に確認

医療事務として知っておきたいのは、ここ。自分の職場が(Ⅰ)だけなのか、(Ⅱ)も届け出ているのかで、賃上げに回るお金の量が変わります。

(Ⅰ)だけの届出なら、必要な情報は対象職員数だけ。手続きは軽く済みます。(Ⅱ)まで出すなら、月額賃金総額を集計する作業が発生します。その集計をするのは、たいてい事務です。


金額はどう決まるのか

「うちはいくらもらえるのか」がいちばん知りたいところですよね。

計算の考え方は、厚生労働省の資料に載っています。まず職場全体の原資を出して、それを算定回数で割って区分を決める。この順番です。

まず「月額賃金総額」を出す

原資のもとになるのが月額賃金総額。基本給と、時間外手当のように月ごとに変わる手当を足したもの。賞与のように特定の時期だけ出るものは入りません。

そこへ、職種ごとに決められた数を掛ける。

対象 令和8年6月〜令和9年5月 令和9年6月〜令和10年5月
下記以外の対象職員 1.29×3.2% 1.29×6.4%
看護補助者・事務職員 1.29×5.7% 1.29×11.4%

ここでも事務職員の率が高いまま。

1.29は、事業主が負担する法定福利費と、月額給与に連動して動く賞与の分を見込んだ係数。手取りに1.29が掛かるわけではありません。

40歳未満の医師・歯科医師がいる場合は、人数に決められた額を掛けて足します。

令和8年6月〜令和9年5月 令和9年6月〜令和10年5月
常勤 27,021円/人 54,042円/人
非常勤(週22時間以上) 9,244円/人 18,487円/人

これらを足したものが「賃金改善算定基礎額」です。それを算定の見込み回数で割ると、届け出る区分が決まります。

出典:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要 Ⅰ-2-1 医療従事者の処遇改善-①」10ページ(PDF)/2026年9月17日に確認

これは「職場が受け取る原資」のこと

注意したいのは、自分の手取りの計算ではない点。ひとりあたりの手取りがいくら増えるかは、職場の人数や配り方で変わります。

自分の給料に直結する数字ではありません。それでも、原資の出どころが分かれば、事務長に聞くときの言葉が変わってきますよ。

もうひとつ、令和8年度から変わったところ。夜勤のある職場では、夜勤手当の増額分も賃金改善に数えられるようになりました。前の章で引いた原文の最後にある一文が、それです。


元採用担当として見てきたこと

採用する側にいた立場から、正直に書いておきます。

賃上げの制度をきちんと運用し、職員に説明できる職場は、採用や定着の面でも信頼されます。

逆に、評価料を取っているのに配り方があいまいだったり、事務を外したりする職場は、人が定着しにくい印象がありました。お金の扱いは、その職場が職員をどう見ているかが表れる部分。

見せかけの昇給かどうかは、基本給と総支給額の両方を見れば判断できます。手当の名前が変わっただけで総額が同じなら、実質は上がっていません。明細は正直です。


それでも納得がいかないときに

仕組みを確認して、それでも還元されていないと分かったら、どうするか。動き方には順番があります。

感情ではなく事実をもとに、院内で事務長や経営側に確認します。

制度の原則を知ったうえで「うちはどうなっていますか」と尋ねるだけでも、改善につながる場合もあるはずです。

院内で話が進まない、あるいは相談しづらい事情がある場合は、労働基準監督署や労働局の総合労働相談コーナーも選択肢です。

賃金に関する相談は無料で受け付けています。制度の原則と、明細で確認した事実を持っていくと話しやすくなります。

それでも変わらない職場なら、最後は自分の物さしで考えていいはずです。給料の高さだけが、働く場所を選ぶ基準ではありません。

お金の扱い方には、その職場の誠実さが出ます。 そこに違和感が消えないなら、別の場所を探すのも、一つの選び直しです。

私自身、年収は下げて転職しましたが、働き方を選び直して暮らしの満足度は上がりました。数字に振り回されず、自分が納得できる働き方を選ぶ。

その判断材料として、制度を知っておくことが役に立ちます。


よくある質問(FAQ)

Q. 「事務は対象外」と言われました。本当ですか?

令和7年度までなら、その説明は制度どおりでした。厚生労働省の資料に「専ら事務作業を行う事務職員等を除く」と書かれていたからです。

令和8年6月以降は違います。対象職員の例に「事務職員」が入りました。もし今も同じ説明を受けるなら、根拠がどこにあるか尋ねてよいときですね。

Q. この制度はいつまで続きますか?

令和8年度の改定では、令和8年6月からの点数と、令和9年6月からの点数が、あらかじめ両方示されています。段階的に上がる形です。

賃金改善そのものは、届出ごとに決められた実施期間の中で行います。報告は毎年8月。算定した年度の8月に中間報告書、翌年度の8月に実績報告書を出す決まりです。

Q. (Ⅰ)と(Ⅱ)は、どちらを届け出ればいいですか?

選ぶものではありません。(Ⅰ)が基本で、それだけでは賃上げの原資が足りない場合に(Ⅱ)を足します。

(Ⅰ)だけなら届出に必要なのは対象職員数。(Ⅱ)まで出すなら、月額賃金総額の集計が要ります。

Q. 届出の書類は変わりましたか?

変わりました。令和8年度の改定から、届出の時点で賃金改善計画書を添付する必要がなくなっています。

区分変更の届出も、対象職員数か算定回数が1割以上動いて、計算し直した結果として区分が変わる場合だけになりました。

Q. 賞与でまとめて支給するのは問題ありませんか?

改善額の3分の2以上は、基本給や毎月の決まった手当の引き上げに充てるのが原則です。年末の賞与など一時金だけに回すと、原則から外れている可能性があります。

毎月の給料を底上げするのが、この制度の狙いです。

Q. 「基本給に手当を移した」と言われました。これは昇給ですか?

総額が変わっていなければ、実質的な昇給とは言えません。手当の名前が変わっただけで総支給額が同じになっていないか、明細で確認してみてください。

Q. 6月に算定したのに、すぐ給料に反映されないのはなぜですか?

算定した分の診療報酬が実際に入ってくるのは数か月先。そのため職場はいったん立て替える形になり、満額の反映に時間がかかることがあります。

賃金改善自体は、届出ごとに決められた実施期間の中で行うのが原則です。

Q. 数字や率は、この記事のとおりですか?

賃上げの目安や対象の範囲は、改定や職場の状況で変わります。具体的な金額や率は、勤務先の事務長や厚生労働省の最新資料で確認してください。この記事は考え方の整理です。


明細を見る前に、押さえておきたいところ

  1. 令和8年6月から、事務職員が正式に対象。賃上げの目標は5.7%で、ほかの職種の3.2%より高い
  2. ベースアップ評価料で得たお金は、職員の賃金に充てるのが原則。赤字の穴埋めや、賞与だけへの充当は原則NG
  3. 「上がっていない」の正体は、算定していない・配り方が見えにくい、のどちらかが多い。これからは「制度上の対象外」は理由にならない
  4. 医療事務は制度を回す当事者でもある。仕組みを知り、明細と基本給を確認することが、自分を守る一歩になる

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著者プロフィールゆう|医療事務10年以上・現フルリモート
3つの総合病院で医療事務を10年以上務め、うち1つの病院で元採用担当を3年経験しました。届出や人件費の計算など、制度の実務にも関わってきました。現在はフルリモートで算定業務をしながら3人の子どもを育てています。「もうひとりで悩まない医療事務」を届けるため発信しています。
Instagram: @iryo_jimu

最終更新日:2026年9月17日

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