結論から言うと、2026年3月1日から、指定難病の受給者証に「保険者名」「記号及び番号」「適用区分」が印字されなくなりました。所得区分はオンライン資格確認などで確認する形に変わりました。
今やること手元の受給者証を見て、適用区分の欄があるかどうかを確認する。
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保険が変わっていても、その場で今の保険を確認できれば公費を使えます。
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指定難病の受給者証、2026年3月に消えた3項目
まず、何がなくなったか。
厚生労働省の通知を受けて、2026年(令和8年)3月1日以降に交付される特定医療費(指定難病)受給者証から、次の3つの記載が廃止されました。
- 保険者名
- 記号及び番号
- 適用区分=高額療養費の所得区分
理由は、オンライン資格確認の普及です。都道府県が保険者に所得区分を照会して受給者証に印字する。その手間そのものがなくなりました。
窓口で確認できる情報を、紙に固定しておく必要がなくなったわけですね。
出典:大阪市|指定医療機関の皆様へ 2026年8月24日確認
しばらくは2種類が窓口に来ます
ここが実務でつまずくところ。
3月以降に発行されたものから順に切り替わるので、当面は記載ありと記載なしの2種類が混在します。
3月より前に交付された受給者証は、有効期間内はそのまま使えます。
つまり「適用区分が書いてある受給者証」と「書いていない受給者証」が、同じ日に窓口へ並ぶ状態。どちらが来ても迷わない形にしておくと、ここから先が楽です。
適用区分がない受給者証を出されたら
ここからが動き方です。
①|マイナ保険証が使える患者さん
カードリーダーに置いてもらえば、オンライン資格確認等システムから資格情報と限度額適用区分の情報まで取得できます。その区分をレセプトの特記事項へ。
受給者証の適用区分を見て入力する動作は、もう使いません。
記載の有無にかかわらず、オンライン資格確認か限度額適用認定証で確認した区分を記載するのが3月以降の扱いです。
②|資格確認書を持ってきた患者さん
資格確認書を確認して、資格確認端末で保険者番号を入力すれば、資格情報を取り込めます。
ただしこの場合、限度額適用区分の情報については、毎回窓口で患者さんから同意をもらう必要があります。
ここは省略できないところなので、声かけの言葉を決めておくと楽ですよ。
「限度額の区分も一緒に確認してよろしいですか」
③|どうしても区分が確認できない時
オンライン資格確認が導入されていない、同意が得られない、認定証の提示もない。そんな時の決めごとが、厚生労働省のリーフレットに示されています。
「一般」の中身は、加入している制度と負担割合で分かれます。後期高齢者医療で1割なら適用区分キ、2割なら適用区分カ、後期高齢者医療以外の70歳以上で2割なら適用区分エ。
なお、いちばん下の行は高齢受給者証などの提示によって現役並み所得者と確認できた場合。この条件つきです。
確認できていないのにアを入れる、ではないので気をつけてくださいね。
出典:厚生労働省 健康・生活衛生局難病対策課 リーフレット 2026年8月25日確認
「統一された」という理解で合っていますか
ここでよく出る質問があります。
「マイナ保険証で出てきた限度額の区分を、難病の適用区分にも使うの?」
はい、その理解で合っています。ただ、言葉を少し整理しておくと迷いにくくなりますよ。
適用区分は、もともと難病専用の区分ではありません
適用区分は、以前から高額療養費の所得区分のこと。難病のために別に作られた区分ではありません。
3月より前は、都道府県が保険者に照会して、その区分を紙の受給者証に印字してくれていました。だから窓口では「難病の人は受給者証を見る」動作になっていたわけですね。
3月以降は、その印字がなくなりました。区分そのものは変わっていません。取りにいく場所だけが、紙から画面に移りました。
他の患者さんと、同じ経路になりました
言い換えると、こうなります。
3月より前は、難病の人だけ別の場所を見にいっていました。今はその1行が消えて、上下が同じになった形です。
「統一された」という言い方で、間違いありません。
出典:厚生労働省 健康・生活衛生局難病対策課 リーフレット 別紙1 2026年8月25日確認。
同資料に「患者さんがマイナンバーカードをカードリーダーに置くことで、オンライン資格確認等システムから資格情報の取得・取り込みができ、限度額適用区分情報を含めて確認できます」とあります。
レセコンのどこに入れるか|以前と今の入力経路
制度のこととしては上のとおりですが、手を動かす側からすると「で、どこを見てどこに入れるの?」が知りたいところ。
そこだけ抜き出します。
以前の入力経路
- 受給者証の適用区分欄を見る
- そこに書いてある区分、ア〜オ、カ、キを読む
- レセコンの特記事項へ入力する
紙に答えが書いてあったので、資格確認とは別の動きでした。
今の入力経路
- オンライン資格確認、または限度額適用認定証で区分を確認する
- 確認できた区分を、レセコンの特記事項へ入力する
工程が1つ減っています。受給者証の適用区分欄は、そもそも空欄になっているので見ません。
「資格の確認と一緒に、限度額の区分も見ておきますね」
レセコンに入れた特記事項が、そのままレセプトの特記事項欄に載ります。ここは以前と変わりません。入力する値をどこから持ってくるか、そこだけが変わりました。
記載ありの受給者証が来た時も、同じです
ここが混乱しやすいところ。
3月より前に交付された受給者証には、まだ適用区分が印字されています。
それを見て入力したくなりますが、記載の有無にかかわらず、資格確認で確認した区分を使います。
古い受給者証の印字は、交付された時点の情報。その後に保険が変わっていれば、実際の区分と食い違うことがあります。
出典:横浜市 指定医療機関向け連絡文 2026年8月25日確認。
「受給者証の適用区分の記載有無に関わらず、令和8年3月以降は以下のとおりの取扱いでお願いします」と明記されています。
保険が変わった患者さん|確認できれば、その日に公費を使えます
ここが、今回いちばん大きい変更かもしれません。
以前は、受給者証に印字された保険情報と実際の保険が違うと、原則そのままでは使えませんでした。だから窓口では「先に受給者証を作り直してきてください」と案内する必要があったわけです。
3月以降は現物給付ができる。自治体からそう案内が出ています。保険が変わっているから、その日は主保険だけ。そんな会計にはなりません。
やることは2つ。
- オンライン資格確認などで今の保険情報を確認する
- その保険情報でレセプトを出す
利用した時点の保険情報が入っていないとレセプトが返戻になることがあるので、確認そのものは省けません。逆に言えば、確認ができていれば、その日のうちに公費を使った会計にできます。
ここが読み違えやすい|「無条件で使える」ではありません
長く窓口に立ってきた人ほど、ここを「使えないのでは」と読み違えます。
「主保険が変わっているなら、そもそも計算できないのでは?」
3月より前は、その感覚で正しかったわけです。受給者証に印字された保険情報と実際の保険が違えば、原則そのままでは使えませんでした。
3月以降は、その「そのままでは使えない」という前提のほうが変わりました。
ただし、条件がつきます。
⏱ 変わったのは「使えない」→「無条件で使える」
ではありません。
「使えない」→「毎回その場で
今の保険を確認すれば使える」です。
確認を飛ばして古い保険情報のままレセプトを出すと、返戻になり得ます。ですから「確認しないと計算できない」と身構えたままでも、動き方としては合っています。
変わったのは確認したあとの行き先。以前は「確認できても使えない」でしたが、今は「確認できれば使える」になりました。
出典:横浜市 指定医療機関向け連絡文 2026年8月25日確認。
「オンライン資格確認等にて必ず最新の保険情報をご確認いただき、その保険情報をご記載ください。(レセプト請求時において、サービス利用時点での保険情報が記載されていない場合にはレセプトが返戻になる恐れがあります。)」
「新しい受給者証を持ってきて」は、もう言わなくていい
3月以降に交付される受給者証には、そもそも保険の情報が入りません。古い保険情報が印字された従来のものを持って来られても、そのまま使えます。
伝えるとしたら、受給者証を作り直すことではなく役所への届出のほうですね。保険情報の変更は法令で定められた届出事項なので、そこは今も必要なままです。
「保険が変わったことは、お住まいの窓口にもお届けが必要です。受給者証はこのままお使いいただけます」
なお、保険が変わると自己負担の上限額が動くことがあります。上限額のもとは、同じ健康保険に入っている世帯の市町村民税の額だからです。ただ、そこを見るのは届出を受けた自治体。
窓口で収入を聞き取ることではありません。
出典:横浜市|受給者証における保険情報等及び適用区分表示の廃止について 2026年8月24日確認
取り扱いは自治体から医療機関向けにお知らせが出ています。最後の判断は勤務先のある都道府県の案内が優先なので、一度目を通しておくと確実です。
適用区分と階層区分の違い|見ている所得が別です
受給者証に並ぶ、よく似た2つの区分。ここを混同したまま入力している人は多いところ。
どちらも所得に関係しますが、出どころが別です。片方は保険者が持っている所得、もう片方は市町村民税。そこを分けて見ると迷いにくくなりますよ。
適用区分のもとは、健康保険なら標準報酬月額、国保なら旧ただし書き所得など。保険の内容の側に印字されていたのも、そのためですね。
階層区分のほうは市町村民税(所得割)の課税額で決まります。ただし上限額は、階層区分だけで決まるわけではありません。
「高額かつ長期」や人工呼吸器等装着といった治療の状況でも変わります。
レセプトのどこに入るか|特記事項欄と、公費の負担金額欄
「どっちを入力するのが正しいの?」と迷うところ。答えは、両方。入る場所が違うだけですね。
- 適用区分(所得区分) → レセプトの特記事項欄
- 階層区分そのもの → レセプトには出てきません
階層区分が決めているのは上限額のほう。その上限額をもとに実際に徴収した自己負担額が、公費欄の負担金額に入ります。
厚生労働省の資料でも、特定医療費に係る公費欄の負担金額(自己負担額)については必ず記載すること、と書かれています。上限に達していてその日の負担がない場合は、公費欄の負担金額は0円。
出典:厚生労働省 健康・生活衛生局難病対策課「特定医療費に係る自己負担上限額管理票等の記載方法について」令和8年3月 2026年8月24日確認
更新の時期|自治体ごとに受付期間が決まっています
有効期間は原則1年以内。
特別な事情がある時だけ、1年6か月を超えない範囲で定められます。
出典:難病情報センター 2026年8月24日確認。
更新の受付期間は都道府県や市ごとに決まっていて、対象になる患者さんへ案内を郵送している自治体があります。実際の例を2つ。
「何か月前から」は一律ではありません。ただ、どの自治体でも期限を過ぎると新規申請の扱いになる点は共通です。
そうなると、受給者証を使えない期間ができることがあります。
窓口でできるのは、気づいた時のひとことだけ。それでも十分ですよ。
「有効期限が近いようですが、更新のご案内は届いていますか」
実際に受け付けるのは自治体なので、その先はお任せする形で構いません。
よくある質問(FAQ)
Q. 3月より前に交付された受給者証は、もう使えないのですか?
有効期間内はそのまま使えます。適用区分が印字されているものと、印字されていないものが当面は混在する形です。
どちらの場合も、特記事項に入れる区分はオンライン資格確認などで確認したものです。
Q. マイナ保険証で出た限度額の区分を、そのまま難病の適用区分として入れていいのですか?
はい。適用区分はもともと高額療養費の所得区分なので、難病用に別の区分があるわけではありません。オンライン資格確認で確認できた区分を、そのまま特記事項へ入れます。
Q. 記載ありの受給者証を出されたら、そちらの区分を優先しますか?
いいえ。記載の有無にかかわらず、資格確認で確認した区分を使います。古い受給者証の印字は交付時点の情報なので、その後に保険が変わっていると食い違うことがあります。
Q. 主保険が変わっていたら、その日は計算できないのでは?
3月より前はそのとおりでした。3月以降は、その場でオンライン資格確認などで今の保険を確認できれば、公費を使った会計にできます。ただし確認そのものは省けません。
確認せずに古い保険情報で出すと、返戻になることがあります。
Q. 適用区分の欄にアスタリスク(*)が入っているのは何ですか?
自治体によっては、廃止された欄に*を印字して交付しています。空欄と同じ扱いで、区分はオンライン資格確認などで確認します。
Q. 患者さんが「限度額の確認に同意しない」と言った場合は?
同意が得られない場合は、区分が確認できない時の決めごとに従います。70歳未満なら適用区分ウで特記事項の記載は不要、70歳以上なら「一般」の扱いで記載が必要です。
Q. 保険が変わったのに、患者さんが役所へ届け出ていない場合は?
その日の会計は、確認できた保険情報で進められます。届出はしてもらう必要があるので、案内だけ一緒に伝える形です。
Q. 階層区分が変わると、いつから上限額が変わりますか?
自治体の案内では、申請日の属する月の翌月から、申請日が1日であればその月から、とされている例があります。詳しくは、勤務先のある自治体の案内で確認してください。
Q. 薬局でも同じ扱いですか?
指定医療機関に薬局も含まれるので、考え方は同じです。自己負担上限額管理票への記入も、これまでどおり続きます。
Q. 高額療養費の上限額は、2026年8月に変わりましたか?
月額の上限が引き上げられ、年間の上限が新しく設けられました。所得区分の細分化は2027年8月からです。詳しくは関連記事に。
3月以降、窓口で変わること
- 2026年3月1日から、受給者証の「保険者名」「記号及び番号」「適用区分」が印字されなくなりました。当面は記載あり・なしの2種類が混在します
- 特記事項には、オンライン資格確認か限度額適用認定証で確認した区分を入れます。受給者証の適用区分を見て入れる動作は、もう使いません
- 難病だけ別の場所を見にいく手順ではなくなりました。マイナ保険証で出た限度額の区分が、そのまま難病の適用区分になります
- 保険が変わっていても、今の保険を確認できればその日に公費を使えます。無条件ではなく、毎回その場での確認が条件です
- 伝えるのは受給者証の作り直しではなく、役所への届出のほうです。3月以降のものには、そもそも保険情報が入りません
制度が変わったこと自体より、変わったのに現場の心配が古いまま残っているほうが厄介ですよね。その差を埋める材料になれば、書いた甲斐があります。
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■ 著者プロフィール3つの総合病院で医療事務を10年以上務め、うち1つの病院で元採用担当を3年経験しました。
現在はフルリモートの医療事務として算定業務を担当。3児の父。
「もうひとりで悩まない医療事務」を届けるため発信中。
最終更新日:2026年8月25日