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レセプト点検で見落としやすい支払基金の事例4つ|医療事務の月初チェック【2026年】

お金と制度by ゆう|医療事務ブロガー公開日 2026/10/02

「この組み合わせ、算定していいんだっけ」「前に査定されたのと同じパターンかも」
月初の点検中、こう迷う瞬間は毎月のようにありますよね。

こういう迷いの答えの手がかりを、支払基金は「審査の一般的な取扱い」として公開しています。
その中から、点検で見落としやすい4つを選びました。

この記事でわかること

  • 今月の点検で、まず検索してほしい2つの組み合わせ
  • 支払基金の事例4つの結論と理由(自分の言葉で要約)
  • 点検でカルテのどこを見るか、医師にどう確認するか
  • 2026年10月から、支払基金の名前が変わったこと

結論から言うと、4つとも「原則として」の判断で、事例ごとにカルテで見るところ(病名・部位・時期・依頼元)が決まっています。
事例は答えそのものではありません。
カルテのどこを見ればいいかを教えてくれる、確認の手がかりです。

今やること今月のレセプトで「耳垢栓塞除去(複雑なもの)(両側)」と、同じ患者さんに2回以上ある「インフルエンザウイルス抗原定性」を検索する。
▼ 4つの事例へ

点検で見落としやすい、支払基金の事例4つ

先に、4つを1枚の表で。

事例 結論と見る所
①耳垢除去の両側 原則不可・病名の(両)
②創傷処置+マッサージ 原則不可・部位
③確定後のインフル検査 原則不可・時期
④眼の病名なし精密眼底 原則OK・依頼元と病名

1〜3は「認められない」側、4だけが「認められる」側。

OKの事例も知っておくと、算定漏れを防げます。

表紙。月初の点検で、この組み合わせ算定していいんだっけと迷う。見落としやすい組み合わせ、支払基金の事例4つ。どれも原則としての判断です

※ここから先の結論と理由は、私が自分の言葉で要約したものです。
支払基金の見解や、許諾を受けた掲載ではありません。
原文は記事の後半で案内している、支払基金のページで確認できます。

1つめ|病名に「両側」がない耳垢栓塞で、耳垢栓塞除去(複雑なもの)を両側で算定

結論:原則として、認められない。

耳垢栓塞除去(複雑なもの)は、片側と両側で別々の点数です。
両側で算定するなら、両側の処置だったと分かる必要がある、との判断。

1つめの事例の要約。病名に両側がない耳垢栓塞で、耳垢栓塞除去(複雑なもの)を両側で算定すると、原則として認められない。理由は片側と両側で点数が分かれているため。確認することは、病名に(両)か(両側)が付いているか。なければ事務で付け足さず医師に確認

もとになっている決まりは、医科点数表(告示)の処置の通則です。
告示は国の文書なので、原文をそのまま載せます。

対称器官に係る処置の各区分の所定点数は、特に規定する場合を除き、両側の器官の処置料に係る点数とする。

出典:診療報酬の算定方法 別表第一(医科点数表)第2章第9部 処置 通則6(厚生労働省)

点検で見る所は、病名に(両)か(両側)の記載があるかどうか。
1か所だけです。
「耳垢栓塞(両)」「両側耳垢栓塞」のような書き方になっているかを見ます。

なっていない時に、事務の判断で(両)を付け足すのはやめておきます。
病名は医師が付けるもので、カルテに両側の処置の記載があっても、病名に反映するかどうかは医師が決めること。

「耳垢栓塞除去を両側で算定していますが、病名に(両)がありません。両側の処置でしたら、病名の確認をお願いできますか」

片側だけの処置なら、片側の点数で算定ですね。

2つめ|同じ部位の、創傷処置とマッサージ等の消炎鎮痛等処置

結論:一緒に算定すると、原則として認められない。

対象は、創傷処置の「100平方センチメートル未満」と、消炎鎮痛等処置の「マッサージ等の手技による療法」の組み合わせ。

2つめの事例の要約。同じ部位の創傷処置(100平方センチメートル未満)とマッサージ等の消炎鎮痛等処置は、一緒に算定すると原則として認められない。理由は、同じ場所に傷の手当てとマッサージの両方が要る状態はふつう考えにくいため。確認することは、2つの処置が同じ部位かどうか

理由はシンプルで、同じ場所に、傷の手当てとマッサージの両方が必要な状態は、ふつう考えにくいから。
支払基金の判断の理由も、この一点です。

大事なのは「同じ部位」かどうか。
ここだけ。
右膝の創傷処置と、腰のマッサージなら、この事例の対象ではありません。

レセプトの摘要だけでは部位が分からないことも多いので、カルテの処置の記載で確認を。

「創傷処置と消炎鎮痛等処置を同じ日に算定しています。部位が同じかどうか、カルテで確認させてください」

3つめ|インフルエンザの診断が確定した後の、インフルエンザの抗原検査

結論:原則として、認められない。

インフルエンザの抗原検査は、すぐに診断して、抗インフルエンザ薬を使うかどうかを決めるための検査。
診断が確定した後に、もう一度調べる必要はない、との判断です。

3つめの事例の要約。インフルエンザの診断が確定した後のインフルエンザの抗原検査は、原則として認められない。理由は、すぐに診断して治療を決めるための検査で、確定後にもう一度調べる必要はないため。確認することは、確定後に同じ検査がもう一度算定されていないか。発症から48時間以内という決まりもあわせて確認

あわせて押さえておきたいのが、留意事項通知の決まり。
こちらも国の文書なので、インフルエンザウイルス抗原定性の項目を原文のまま載せます。

(13) インフルエンザウイルス抗原定性
ア 「22」のインフルエンザウイルス抗原定性は、発症後48時間以内に実施した場合に限り算定することができる。
イ 本検査と「11」のウイルス抗体価(定性・半定量・定量)のインフルエンザウイルスA型若しくはインフルエンザウイルスB型を併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。
ウ 本検査は光学的抗原抗体反応(OIA法)により実施した場合にも算定できる。

出典:診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について D012 感染症免疫学的検査 (13)(厚生労働省)

これからの季節、同じ患者さんの2回目の受診で検査が出てくることが増えます。
1回目で陽性が出て確定しているのに、2回目でもう一度算定されていないか。
見る所は、1回目と2回目の診断の流れですね。

「インフルエンザの抗原検査が2回算定されています。1回目で診断が確定していたか、カルテで確認させてください」

4つめ|眼の病名がなくても、精密眼底検査(片側)が原則OKの時

結論:次の条件なら、原則として認められる。

  • 他の診療科からの依頼であること
  • 病名が、糖尿病・高血圧症・脳血管疾患・脳血管疾患の手術後のどれか

4つめの事例の要約。眼の病名がなくても、精密眼底検査(片側)が原則OKになる条件は、他の科からの依頼であること、対象が糖尿病・高血圧症・脳血管疾患・脳血管疾患の手術後であること。確認することは、依頼元の科と4つのどれかの記載があるか

眼底では、細い血管や視神経の状態を直接見られます。
糖尿病や高血圧症の状態をつかむことや、脳血管疾患の早期発見と経過観察に役立つため。
支払基金は、これを理由に挙げています。

ここは逆向きの落とし穴。
眼の病名がないからといって、事務の側で外してしまうと算定漏れです。
確認する所は、依頼元の科と、上の4つの病名のどれかがあるか。

なお、この事例は片側の算定についての判断。
両側については触れていないので、院内のルールで確認しておきたいところ。

支払基金の事例を、点検でどう使うか

事例は、点検の時に「ここを見ればいい」を教えてくれる道具です。
使い方の注意は3つ。

気をつけること。事例は答えではなく確認の手がかり。原則としてなので個々の症例で変わることがある。病名は医師が付ける、事務は必要なら確認をお願いする。院内の点検のルールと原文もあわせて見る

「原則として」を外さない。
4つとも結論に「原則として」が付いています。
個々の症例で判断が変わることがあるので、事例に当てはまったからといって、すぐに削るとは限りません。

病名は医師が付ける。
事例を読むと、病名を足せば通るように見えることがあります。
それでも、事務の判断で病名を付け足すことはしません。
必要なら、医師に確認のお願いを。

院内の点検ルールと原文も見る。
病院によっては、査定を受けた組み合わせを独自のチェック項目にしています。
事例と院内ルールが食い違う時は、先輩か点検の担当者に聞くのが早いです。

医学的に必要だった処置なら、症状詳記で理由を伝える方法もあります。
書くのは医師なので、事務からは相談の形で。

「この組み合わせは原則として認められない事例があります。必要な処置でしたら、症状詳記をお願いできますか」

そもそも「審査の一般的な取扱い」とは

ここからは、事例そのものの背景です。

審査の判断を、前もって公開したもの

「審査の一般的な取扱い」は、支払基金がレセプトの審査でどう判断しているかを、項目ごとに公開しているもの。
医科のほかに、調剤の取扱いもあります。

1件ごとに「取扱い(結論)」と「取扱いを作成した根拠等(理由)」が書かれていて、理由まで読めるのが特徴です。
医科は、2026年10月2日時点で881事例。
2026年9月30日にも追加がありました。

2026年10月から、支払基金の名前が変わりました

2026年10月1日から、支払基金は「医療情報基盤・診療報酬審査支払機構」(略称:DX審査支払機構)になりました。
ホームページの住所も変わり、古いページを開くと新しいサイトに移ります。

事例のページも、名前が「DX審査支払機構における審査の一般的な取扱い(医科)」に変わりました。
2026年9月以前に公表された事例は、これまでどおり「支払基金」と表示されています。
この記事の4つも、すべて支払基金の名前で公表されたものです。

国保の審査との関係

事例の右上に「支払基金・国保統一事例」(10月以降の事例は「DX審査支払機構・国保統一事例」)とあるものは、国民健康保険中央会と合意が取れた事例。
「支払基金統一事例」とだけあれば、国保中央会と合意に向けて検討中の事例です。

4つめの精密眼底検査は、この「支払基金統一事例」の側。
国保の審査で同じ扱いになるとは限らないので、国保のレセプトは国保連合会の扱いも見ておくと安心です。

原文の探し方

事例の一覧は、DX審査支払機構のページにExcelとPDFで置かれています。

  • 一覧(Excel):項目名で検索できる
  • 提供日順のPDF:新しく追加された事例を追うのに向いている
  • 診療項目順のPDF:検査・処置など、区分ごとにまとめて読める

原文のページ:医療情報基盤・診療報酬審査支払機構「DX審査支払機構における審査の一般的な取扱い(医科)」

事例は881あります。
全部に目を通すのは、さすがに現実的ではありませんよね。
点検で迷った項目の名前で、その都度確認する使い方が続けやすいです。

算定ナビで、項目ごとに事例を見る

項目名から事例を確認できるように、算定ナビにも支払基金の事例を入れています。
検索は無料です。

ほかの事例は算定ナビで。項目名で検索すると支払基金の事例が出てきます。検索は無料です

この記事の4つの項目は、次のページで見られます。

算定ナビを作った理由は、算定確認に自信が持てない医療事務が、自分でアプリを作った理由に書いています。

よくある質問(FAQ)

Q. 診断が確定する前に、インフルエンザの抗原検査を2回した場合は?

この事例は、診断が確定した後の検査についての判断です。
1回目が陰性で、確定していない段階でもう一度検査した場合は、この事例の対象ではありません。
発症後48時間以内の決まりと、院内のルールで確認します。

Q. 眼の病名がある患者さんの精密眼底検査は?

4つめの事例は、眼の病名がない場合の判断です。
眼の病名がある場合は、その病名に対する検査として、ふだんどおり確認します。

Q. 創傷処置が100平方センチメートル以上の場合は?

2つめの事例の対象は「100平方センチメートル未満」です。
それ以上の区分との組み合わせについては、この事例では触れていません。
迷う時は、原文の一覧で項目名を検索して、ほかの事例がないかを見ます。

Q. 事例に当てはまるレセプトは、全部削ったほうがいい?

すぐに削るとは限りません。
「原則として」なので、医学的な必要性がカルテや症状詳記から分かる場合は、判断が変わることがあります。
削るか、医師に確認するか、症状詳記を相談するかは、院内のルールに沿って決めます。

月初の点検で使う3つ

  1. まず2つを検索:耳垢栓塞除去(両側)と、同じ患者さんに2回以上のインフルエンザ抗原検査
  2. 見るのは病名・部位・時期・依頼元:4つの事例は、どれもカルテのどこを見るかが決まっている
  3. 病名は医師に確認:事務の判断で付け足さず、言い回しを決めておけば聞きやすい

事例を知っていると、点検で止まった時に「どこを見ればいいか」の見当がつきやすくなります。
保存しておくと、来月の点検でもすぐ見返せます。

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■ 著者プロフィール3つの総合病院で医療事務10年以上、うち1つで元採用担当を3年。
現在はフルリモートの医療事務として算定業務を担当。3児の父。
「もうひとりで悩まない医療事務」を届けるため発信しています。

最終更新日:2026年10月2日

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