💬「忙しそうな先生になかなか話しかけられない…」
💬「指示を聞き間違えたらどうしようって、いつも不安…」

新人さんや若手の医療事務スタッフなら、きっと誰もが一度はこんな風に悩んだことがあるかもしれませんね。

でも、大丈夫です。

実は、先生や看護師さんから「いつもありがとう、助かるよ!」と声をかけられる医療事務さんには、ある共通点があったんです。

それは、これからお話しする【たった3つのシンプルな原則】を、毎日大切にしていること。

この記事では、あなたの隣に座ってお話しするような気持ちで、具体的な方法を一つひとつ丁寧にお伝えします。

読み終える頃には、チーム医療に欠かせない存在になるための、新しい一歩が踏み出せるはずですよ。




なぜ?医療事務と医師・看護師の連携で「すれ違い」が起きる3つの理由


そもそも、どうして医療現場ではコミュニケーションの「すれ違い」が起きやすいのでしょうか?

まずはその理由をそっと紐解いてみましょう。 きっと、心のモヤモヤが少し晴れるはずです。

理由① 職種による「前提知識」と「専門用語」の壁

先生や看護師さんが普段何気なく使っている言葉。 それは、専門用語や独特の略語が多いですよね。

医療事務として学ぶ知識とはまた違う領域です。
だから、言葉の本当の意味を正確に受け取れず、意図を少し取り違えてしまうこともあるものです。

【用語解説】
院内略語(例:「コンサル」=他科依頼、「サマリー」=入院経過要約)は、施設により定義や運用が異なる場合があります。
誤解を防ぐため、院内の用語集や規程を確認し、指示を受ける際は必ず復唱して意味を取り違えていないか確認しましょう。

(参考: 厚生労働省「医療安全管理規程(例)」)

理由② 「忙しさ」の質の違いと、コミュニケーションの優先順位

もちろん、医療事務のお仕事も本当に忙しいです。

ただ、先生や看護師さんの忙しさは、患者さんの命や健康に直接つながっています。
そのため、彼らにとっての最優先事項は、どうしても目の前の患者さんへの対応になります。

結果として、事務的な報告や確認が少し後回しになることも。 この「忙しさの質」の違いを知らないと、悲しいすれ違いが生まれてしまいます。

理由③ 医療安全に関わる「責任の重さ」へのプレッシャー

医療現場での指示や伝達は、たった一つで大きな問題に繋がりかねません。

先生や看護師さんは、常にその張り詰めたプレッシャーの中で働いています。 時に厳しい口調になるのは、この強い責任感の表れであることがほとんど。

(出典: 厚生労働省「医療安全対策」)

医療安全の確保は国の最重要課題の一つと位置づけられており、医療現場全体で安全文化を醸成することが求められています。
その背景を知ることで、相手の言動への理解も深まるはずです。

(出典: 厚生労働省「医療安全対策」)


テクニック以前に!信頼される医療事務の「基本マインドセット」

具体的なテクニックの前に、もっと大切な土台となる「心構え」についてお話しさせてください。
これができているかで、連携の質が大きく変わってきますよ。

大前提は「相手への敬意」。挨拶と感謝を言葉にする

これは基本中の基本です。 毎日の挨拶や「ありがとうございます」という感謝の言葉を、意識して声に出すことが本当に大切。

忙しい中で対応してくれた先生や看護師さんへ、敬意をきちんと言葉で示す。 それだけで職場の雰囲気がふっと和らぎ、いざという時に助け合える関係性が育ちます。

チームの一員であるという当事者意識を持つ

「自分はただの事務員だから…」なんて、決して思わないでくださいね。

「チーム医療を支える、かけがえのない一員なんだ」 この当事者意識を持つことが、何より大切です。

質の高い医療を実現するため、厚生労働省は医師、看護師、薬剤師など多職種が連携・協働する「チーム医療」を推進しています。
医療事務は、そのチーム内の正確な情報伝達を担う、まさに連携の要
となる重要な存在なのです。

厚生労働省「チーム医療の推進について」

相手の時間を尊重する。報告はタイミングを見計らって

自分の仕事を進めたい、という気持ちだけで話しかけるのは少し待ってみましょう。

相手が今どんな状況か、一瞬だけ観察する。 そして「お忙しいところ恐れ入れます」といったクッション言葉を添える。

この本当に小さな配慮の積み重ねが、あなたの印象をとても素敵なものに変えてくれます。


これだけは押さえたい!円滑な院内連携を実現する「基本の三原則」

さて、いよいよ具体的な原則のご紹介です。
まずこの3つを「お守り」だと思って、毎日の業務で意識することから始めてみませんか?

【原則①】復唱と要約で、認識のズレを防ぐ

指示を受けたら、オウム返しのように「復唱」します。
さらに、自分の言葉で「要約」して確認する癖をつけましょう。

「〇〇の件ですね。つまり△△ということで合っていますでしょうか?」

たったこれだけで、お互いの「たぶん、こうだろう」という認識のズレを、びっくりするほど防げます。
「この人に任せれば安心だな」という信頼感にも繋がりますよ。

【原則②】5W1Hで、曖昧な点をゼロにする

もし指示の中に少しでも曖昧な点があれば、必ずその場で確認しましょう。

特に、この3つは重要です。

  • いつまでに(When)

  • 誰が(Who)

  • 何を(What)

「あとで聞けばいいか」は、聞き忘れの一番の原因になってしまいます。

【原則③】結論ファーストで、要点を簡潔に伝える

いつも時間に追われている先生や看護師さんには、必ず「結論」から話してみてください。

「〇〇の件でご報告です。結論は△△です。なぜなら〜」

この順番で話すことで、相手は一瞬で状況を理解できます。 その後の話もスムーズに聞いてもらえるようになります。


【指示受け編】聞き漏らしと勘違いを防ぐ具体的なテクニック

三原則を心の片隅に置いたら、次は「指示受け」で今すぐ使えるテクニックを見ていきましょう。

「先生、今1分だけよろしいでしょうか?」魔法の声かけ

相手が集中している時は、ぐっとこらえて。 少し手が空いたように見える「すきま時間」を見つけましょう。

「〇〇先生、今、1分だけよろしいでしょうか?」

こうして必要な時間を伝えるのがおすすめです。
相手は「1分だけなら」と、心の準備をして話を聞いてくれやすくなります。

メモは殴り書きでOK!“いつ誰に何を”を残すログ術

綺麗なメモを取る必要なんてありません。

大切なのは、「いつ・誰から・どんな指示を受けたか」を、走り書きでもいいので必ず記録に残すこと。
このような記録は、各医療機関が定める「医療安全管理規程」などに基づき、指示の経緯を正確に残す上で非常に重要となります。

(参考: 厚生労働省「医療安全管理規程(例)」)

聞き取れなかった専門用語は、カタカナで書いておき後で質問すれば大丈夫。 このメモが、後から不安になったあなたをきっと助けてくれます。

そのまま使える!指示受けの復唱確認テンプレート3選

① シンプル確認
「はい、復唱いたします。〇〇の件で、△△ということですね。承知いたしました。」
② 要約して確認
「〇〇の件ですね。つまり、私が△△の対応をする、という認識で合っていますでしょうか?」
③ 期限をしっかり確認
「承知いたしました。ちなみに、こちらの件はいつまでに対応が必要でしょうか?」

専門用語や略語が出てきた時のスマートな質問フレーズ

わからない言葉を、わかったふりをしてしまうのが一番怖いことです。

「恐れ入れます、不勉強で申し訳ないのですが、先ほどの〇〇とはどういう意味でしょうか?」

こんな風に、謙虚な姿勢で素直に質問してみましょう。
「学びたい」という前向きな気持ちを見せることで、快く教えてくれる先生は多いはずですよ。
先生に聞くのに抵抗がある場合は、先輩に聞いてみましょう。


【報告・伝達編】デキる医療事務の分かりやすい伝え方

今度は、あなたから情報を発信するテクニックです。 少しの工夫で、ぐっと伝わりやすくなりますよ。

SBAR(エスバー)を使った報告の型

SBAR(エスバー)とは、医療現場でよく使われる報告の型(フレームワーク)のこと。
・状況(Situation)
・背景(Background)
・評価(Assessment)
・提案(Recommendation)
の頭文字を取ったものです。

引用:ナース専科

このSBARは、もともと米国海軍で開発された報告様式ですが、その有効性から日本の医療系大学や附属病院でも、医療安全のための情報伝達訓練に導入されています。
この順番で情報を整理するだけで、驚くほど報告が分かりやすくなるんです。

  • S(状況): 「〇〇さん(患者名)の件でご報告です」

  • B(背景): 「先ほど、ご家族から〇〇という問い合わせがありました」

  • A(評価): 「緊急性は低いと思いますが、先生にご確認いただく必要があると感じました」

  • R(提案): 「つきましては、お手すきの際にカルテをご確認いただけますでしょうか」

電話での伝言・折り返し依頼で外せない4つのポイント

電話の取り次ぎは、意外とミスの多い場面。 以下の4つは必ず守りましょう。

✅ 相手の名前と用件は必ず復唱して確認する

緊急性が高いかどうかを確認し、それを伝える(※)

✅ 折り返し先の電話番号を必ず聞く

✅ 伝言メモを残し、誰に渡したかまで記録しておく

(※)情報を受け取った際に、その緊急度を評価し、対応の優先順位を判断することは、医療安全上きわめて重要です。

(参考: 厚生労働省「医療安全対策」)

これは、私の体験談ですが、少し紹介させていただきますね。

ある日、会計終わりの患者さんから、「いつもと違う薬が出ている気がする…」という小さな呟きを耳にしました。

私はカルテを確認しましたが、先生のオーダリングに間違いは見当たりませんでした。
でも、患者さんの不安そうな表情が、どうしても私の心に引っかかりました。
私は診察を終えた先生に、「〇〇さんが処方について少しご不安なご様子でしたので、念のためご報告です」と、そっと一言伝えました。

その一言がきっかけで、先生は患者さんのアレルギー歴を再確認。 すると、システム上は見逃されていた禁忌薬の処方だったことが判明したのです。
私の「念のため」の報告が、インシデントを未然に防ぎ、患者さんの安全を守った瞬間でした。

【用語解説】
インシデント(ヒヤリ・ハット)とは、「結果的に医療事故には至らなかったものの、その可能性がある出来事」を指します。

電子カルテのコメント欄で的確に情報を残す書き方

電子カルテのコメントは、「客観的な事実」を簡潔に書くのが鉄則です。
また、電子カルテを含む医療情報は、個人情報保護の観点から、利用目的を特定し、必要最小限の内容を記載することが法律で求められています。

(出典: 厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」)

【良い例】
9/28 10:30 田中(事)入力:
ご家族より「請求書(※)の詳細について聞きたい」と電話あり。15時頃に再度連絡いただくようお伝え済み。

※ここで言う「請求書」とは、保険請求の明細書である「レセプト」とは別に、患者さんにお渡しする診療費の明細などを記載したものです。

【少し残念な例】
請求書の問い合わせ電話があった。
(これだと、誰からいつ電話があり、どう対応したのかが分かりませんよね)


【失敗談から学ぶ】よくある連携ミスとそのスマートなリカバリー術

大丈夫、誰にだって失敗はあります。 本当に大切なのは、失敗した後にどう対応するか、なんですよ。

ケーススタディ①:電話での伝言ミス

「先生への伝言を頼まれたのに、バタバタしていて忘れてしまった…」
これは、本当に“あるある”なミスの一つです。

まずは、忘れたことを正直に謝罪し、すぐに伝達しましょう。
そして次に、付箋に書いてPCに貼るなど、「仕組み」でカバーするのがおすすめです。

ケーススタディ②:先生の指示内容を勘違い

もし間違った対応に気づいたら、できるだけ早く先生に報告しましょう。

「大変申し訳ありません。私の勘違いで、先ほどの指示を〇〇と対応してしまいました。どのようにリカバリーさせていただけますでしょうか」

このように、隠さずに報告し、指示を仰ぐことが何より重要です。 その正直な態度は、必ず信頼回復に繋がります。

次の成功につなげる「個人用ヒヤリハットノート」のすすめ

「危なかったな」「失敗しちゃったな」と感じたことを、小さなノートに書き留めてみませんか?

「(内容)〇〇の指示を復唱せず不安になった。 (対策)これからは必ず復唱確認する!」

こんな風にメモしておくと、同じミスを繰り返さなくなり、あなただけの最高の業務マニュアルになっていきます。


無意識にやってない?信頼を失いかねない連携時のNG行動

円滑な連携のために、これはできれば避けてほしい…という行動もあります。 無意識のうちにやっていないか、そっと自分を振り返ってみましょう。

🚫  「でも」「だって」という反論

指示に対して、すぐに否定的な言葉から入るのはもったいないかもしれません。

たとえ疑問があっても、まずは「はい、承知いたしました」と、一度受け止める姿勢がとても大切。 その上で、「一つだけ確認させてください」と質問する形にすれば、相手も話を聞き入れやすくなります。

🚫 自分の判断だけで進め、事後報告になる

少しでも「これで合っているかな?」と不安に思ったら、必ず誰かに確認をとりましょう。

「たぶん大丈夫だろう」という軽い思い込みが、大きなトラブルの原因になることも。 「報告・連絡・相談」を丁寧にすることは、結果的にあなた自身を守ることに繋がります。

🚫 スタッフルームでの噂話やネガティブな発言

特定のスタッフに対するネガティブな発言は、百害あって一利なし、です。

誰がどこで聞いているか分かりません。 職場の雰囲気を悪くするだけでなく、あなた自身の信頼を大きく損なってしまいます。


もう怖くない!医師・看護師との連携に関するお悩みQ&A

最後に、皆さんが抱えがちな細かいお悩みに、Q&A形式でお答えします。

Q. 厳しい口調で指示をされて、萎縮してしまいます。どうすれば?

A. とてもよく分かります。
でも、まずは「自分個人が攻撃されているわけではない」と考えてみてください。
先生の厳しい口調は、患者さんへの強い責任感から来ていることがほとんど。 冷静に指示内容を復唱し、あなたがやるべきことを正確に行うことに集中しましょう。

Q. 何度も同じことを聞くのは失礼にあたりますか?

A. いいえ、そんなことはありません。確認せずに間違えてしまう方が、はるかに大きな問題に繋がります。
ただし、「何度も申し訳ありませんが、念のため…」のように、クッション言葉を添えるなど、聞き方を少し工夫すると、とてもスマートな印象になります。

Q. 他のスタッフへの申し送りで、何をどこまで伝えれば良いですか?

A. そんな時は、「次にこの情報を見る人が、どんな対応をするかな?」と想像するのがコツです。
「自分がいなくても、この後の業務がスムーズに進むか」という視点を持つことが、とても大切です。


まとめ:明日からあなたもチーム医療の頼れるハブになろう


ここまで、たくさんの情報をお伝えしてきました。 少し頭が疲れてしまったかもしれませんね。

でも、全部を一度にやろうとしなくて、まったく問題ありません。


👟 まずは「復唱確認」から!今日からできる最初の一歩もし、明日から何を変えようか迷ったら、まずは指示を必ず「復唱確認」すること。
たったこれだけを、意識して徹底してみてください。
この本当に小さな行動が、驚くほどミスを減らし、信頼関係を築く大きなきっかけになります。

 あなたの正確な連携が、医療の質と患者さんの安心を支えています医療事務は、チーム医療の土台を支える、本当に重要で専門性の高い、誇りあるお仕事です。
あなたの丁寧な情報伝達が、先生や看護師さんの大切な判断を助け、病院全体の医療の質を高め、そして何より、患者さんの安心に直接繋がっています。