朝、駐車場に車を停めるたび、ため息が出ていた時期があります。

「今日は誰の機嫌を読まなきゃいけないだろう」「資格確認、また怒られるかな」出勤前から頭の中で先輩の顔がぐるぐるしていました。

「医療事務の人間関係はきつい」とネットで検索してこの記事を読んでいるなら、似た感覚かもしれません。

結論からお伝えすると、確かに大変なことはあります。ただ、ネットで言われるほど一律に酷いわけではありません。

10年以上現場にいて、3年間は元採用担当として面接もしてきた立場から、正直なところを書きます。

今やること今しんどい理由を、個人と組織のどちらに当たるか、切り分けの表で1つずつ見る。
▼ 切り分けの目安を見る


この記事でわかること

読み終えた時、皆さんは- 「人間関係がきつい」が事実か誤解か、業界の構造から判断できる
- 厚労省データで見る、医療・福祉の人間関係の実情
- 「個人の問題」と「組織の問題」の切り分け方
- 困りごとワースト3と、現場で本当に効いた考え方
- 相手別に、そのまま使える言い換えフレーズ
- 新人時代に避けたいNG行動
- 転職を検討すべきサインと、後悔しない決め方

を、持ち帰れる状態です。


医療事務の人間関係、実際のところ

噂と現実のギャップを、まず正直に整理します。

本当にあること

  • 女性が多く、最初は輪に入りにくい
  • 月末月初の繁忙期は全員がピリピリする
  • 厳しい指導を受けることがある。特に新人時期
  • 派閥や序列が見えにくく、立ち位置に迷うことがある

思ったほど多くないこと

  • 陰湿ないじめは稀。10年以上の現場で明確に「いじめ」と感じたケースは1〜2回でした
  • 医師・看護師との関係は、事務員が思うより良好
  • 助け合いの文化はちゃんとある。特にレセプト期間は連帯感が強まります

朝、最初にやることは「先輩の車の確認」だった

朝、駐車場に車を停める。降りる前にまず確認するのは先輩の車があるかどうかでした。

あの車がある日は、出勤前から気が重くなる。玄関に向かう足が、ほんの少し遅くなる。受付に入って「おはようございます」と声をかける。返事があれば、今日は大丈夫。

目が合わなかったり、返事が短かったりしたら。

その瞬間から、仕事モードじゃなくて「機嫌チェックモード」が始まる。

医療事務の知識より先に身についたスキルが、先輩の顔色を読むこと。冷静に考えると、けっこうしんどいことです。

朝6時に起きて、片道50kmの高速を1時間。駐車場で先輩の車を探す。その時点で1日のエネルギーは、もう半分使ってしまっていました。

「今忙しい」と「なんでさっき聞かなかったの?」

新人の頃、わからないことがあって先輩に質問した。「今忙しいんだけど」と言われて、30分待った。落ち着いた頃を見計らって、もう一度聞きに行った。「なんでさっき聞かなかったの?」

正解のタイミング、結局わからなかった。

そのうち私は、仕事を覚えることより「この人の機嫌を読むこと」にエネルギーを使うようになっていました。

先輩の状態 私がとっていた行動
目が合わない 質問を後回しにする
ため息が聞こえる 存在感を消す
足音が近づく ビクッとして身構える
返事が短い 今日は機嫌が悪い日と判断
患者さんには笑顔 私への態度との落差で消耗

この表を見て「あるある」と思ったなら、私と同じ状態だったかもしれません。

一番つらいのは「毎日じゃないこと」

機嫌の悪い日。朝の挨拶の返事がない、質問すると「前にも言ったよね」と言われる、患者さんには笑顔なのにこっちにはため息をつく、といったことが起きます。

でも、一番つらいのは、毎日じゃないことでした。

機嫌が良い日には、普通に話しかけてくれます。昼ごはんを一緒に食べることもある。そういう日があるから「もしかしたら私の接し方が悪いのかも」と思い直してしまう。

悪い日は自分のせい。良い日には安心して、また次の悪い日に備える。このサイクルに、10年近く入っていました。

「最悪じゃないから辞められない」「ちゃんとした理由がないと転職できない」その考え方が、一番の罠でした。

毎日怒鳴られていたら話せます。家族や友人に話して同情してもらえます。でも「悪い日と良い日がある」曖昧な状態は、誰にも理解されにくい。だからこそ、一人で抱え込みやすいのです。

しんどさに「正当な理由」は要らない

家族や友人に仕事のことをすると、よくこう言われました。「人間関係も別に悪くないんでしょ?じゃあいいじゃん」

その言葉に、うまく返せたことがありません。心の中では「最悪じゃないから、辞められないんだよ」と思っていました。

「パワハラがあるわけじゃない」「陰口がひどい職場でもない」と言い訳を探すほど、しんどさは見えにくくなっていきます。

機嫌を読むことにエネルギーを使い続けることのコストは、目に見えません。でも、じわじわ消耗します。

しんどいと感じるのに、わかりやすい理由は要りません。

「我慢できる程度のしんどさ」が10年。積み重なると、気づいた時には心も体もボロボロになっている。これは私自身が10年で学んだ、一番大きな教訓です。


医療事務の人間関係がきついと言われる構造的な理由

医療事務の人間関係が「きつい」と言われがちな背景には、業界の構造的な要因があります。

構造要因 結果
女性比率が9割前後 同質性の高い人間関係になりやすい
月末月初に業務が集中 全員がピリつく時期が毎月来る
患者対応・医師対応・事務処理を同時並行 マルチタスクの負荷でイライラしやすい
教育担当が固定されにくい 「教わる先輩」がコロコロ変わる
評価制度が曖昧な職場が多い 「お局さん」の暗黙の評価が強くなる
少人数チーム(4〜10人が多い) 逃げ場が物理的に少ない
受付という狭い空間で長時間 距離をとりにくい
暗黙のルールが多い 「ここのやり方」に縛られる
患者さん優先で自分の感情を出せない 我慢が蓄積する
入れ替わりが少ない 序列が固定化しやすい

これらは個人の性格の問題ではなく、構造の問題。

医療事務はどこも同じ。そう感じてしまう理由が、この構造的な共通点です。でも、職場の規模・科・マネジメントの質によって、実際には差が大きい世界でもあります。

採用する側に3年いた経験から言いますね。人が長く続く職場と続かない職場の差は、仕事の量より「合わない人とどれだけ距離を取れるか」で決まることが多かったです。


医療事務の人間関係を厚労省データで見る

「自分だけがしんどいのでは」と感じている時に。数字もお見せします。

労働者全体の対人ストレス率

いちばん新しい数字は、令和6年の調査です。原文を載せます。

現在の仕事や職業生活に関することで、強い不安、悩み、ストレス(以下「強いストレス」という。)となっていると感じる事柄がある労働者の割合は68.3%[令和5年調査82.7%]となっている。
 強いストレスとなっていると感じる事柄がある労働者について、その内容(主なもの3つ以内)をみると、「仕事の量」が43.2%[同39.4%]と最も多く、次いで「仕事の失敗、責任の発生等」が36.2%[同39.7%]、「仕事の質」が26.4%[同27.3%]となっている。

出典:厚生労働省「令和6年 労働安全衛生調査(実態調査)」結果の概要/2026年9月18日に確認

強いストレスがある人は68.3%。「対人関係(セクハラ・パワハラを含む。)」を挙げた人は26.1%で、上から4番目でした。前の年は29.6%です。

4人に1人が人間関係で消耗している。数字はそう言っています。

医療・福祉業界はパワハラ経験率が高い

ここは、いちばん新しい調査で数字が変わっていました。令和5年度の報告書の原文です。

パワハラを受けた経験を業種別にみると、「建設業」(26.8%)が最も高く、「複合サービス事業」(22.5%)、「教育、学習支援業」(20.6%)、「医療、福祉」(20.6%)が続いた。

出典:厚生労働省「令和5年度 職場のハラスメントに関する実態調査報告書」113ページ/2026年9月18日に確認

医療、福祉は20.6%。全体は19.3%なので、平均より1.3ポイント高いくらいです。

令和2年度の全体は31.4%だったので、そこから大きく下がりました。

16の業種を並べた図も載せます。

過去3年間にパワハラを受けた経験の業種別グラフ。建設業が26.8%でいちばん高く、複合サービス事業22.5%、その他21.7%、教育・学習支援業20.6%、医療・福祉20.6%と続く。製造業・電気ガス・卸売小売は19.5%、運輸19.6%、その他サービス19.4%、金融保険と宿泊飲食は18.0%、不動産17.5%、情報通信15.0%、学術研究と生活関連サービスは14.5%。対象は全回答者8000人。

出典:厚生労働省「令和5年度 職場のハラスメントに関する実態調査報告書」113ページ 図表117/画像はタップで拡大

飛び抜けて多い業界ではありません。ただ、上から4番目に入っているのも事実です。

「自分だけ」ではない。そう言うには十分な数字だと思います。

「役割・地位の変化」も公式なストレス要因です

同じ労働安全衛生調査は、ストレスの内容の選択肢に「役割・地位の変化等(昇進・昇格、配置転換等)」を入れています。令和6年は19.8%でした。

これは個人の能力ではなく、置かれ方の問題です。

医療事務の担当は、受付・会計・電話・予約・レセプト点検・備品発注などグレーゾーンの業務が集中する職種なので、この要因をもろに受ける立場。

元採用担当の本音「人間関係でつらい」と相談に来る新人さんに、まずこのデータを見せます。自分の性格の問題ではないと知るだけで、表情が一気に変わります。


業界構造ゆえに摩擦が起きやすい3つ

データの背景を、現場の景色と重ねて整理してみましょう。

1|異職種が交差する「最前線」にいる

医療事務は、医師・看護師・薬剤師・検査技師・患者さん・業者の全員と接する唯一の職種です。

それぞれの専門性・優先順位・忙しさのリズムが違います。だから板挟みが日常茶飯事。

関わる相手 よくある摩擦の例
医師 「今すぐ会計呼んで」と現場優先の指示
看護師 「カルテに書いといて」の依頼が増える
患者さん 待ち時間・会計額のクレーム
他部署事務 「うちの担当じゃない」と押し付け合い

2|業務範囲があいまい

「これは誰の仕事?」が日々発生します。

受付・会計・レセプト・電話・予約管理・備品発注・患者対応など、書かれていないグレーゾーンが医療事務に集中する構造です。

前述の役割のあいまいさ。ここでもストレス要因として効いてきます。

3|ヒエラルキーが強い

医療現場は専門職の上下関係がはっきりした場所ですね。医療事務は職種の中で下位に置かれがちです。

意見を言いにくい雰囲気が、ストレスの蓄積につながります。


医療事務の人間関係|「個人の問題」と「組織の問題」を切り分ける

人間関係がしんどい時、すべて「自分のせい」と抱え込みがちです。でも、よく見ると半分以上は組織の問題だったりします。

切り分けの目安

サイン 個人の問題 組織の問題
特定の先輩1人とだけ合わない ◯ △
複数の先輩から距離を置かれている △ ◯
新人が3年以内に全員辞めていく × ◯
自分のミスで叱られる ◯ ×
業務量が一部の人に偏っている × ◯
上司が部下のフォローをしない × ◯

組織の問題が3つ以上当てはまるなら、個人の努力だけで改善するのは難しい。

環境を変える選択肢を視野に入れたほうが、長期的には消耗が減ります。

元採用担当として見てきた本音
中途採用の面接で「前職の人間関係が」と話す方の半分以上は、よく聞くと組織の問題でした。教育制度が機能していない、評価が不透明、上司が機能していない。本人の問題ではなかったケースが多かったです。

悩み別に見る|個人の側でできることと、構造の側の理由

よくある悩みで、もう一段具体的に切り分けてみます。「自分のせい」と「構造のせい」を分けるだけで、抱える重さが変わります。

悩み 個人の問題 構造の問題
先輩に何を聞いても冷たい 質問の出し方・タイミング 月末月初の波・人手不足
医師に怒鳴られる 報連相の精度 ヒエラルキー・余裕のなさ
看護師との距離感が難しい 言葉選び・枕詞 忙しさの波の違い・職種差
同期と比べて遅い 自分のペース管理 教育体制・配属差
全部抱え込んでしまう 境界線の引き方 業務範囲のあいまいさ

右側(構造の問題)に当てはまる項目が多いなら、自分を責める比率を下げて大丈夫です。


困りごとワースト3|現場で実際に多いもの

10年以上の現場経験+採用相談で聞いてきた声から、本当に頻度が高い困りごとは3つです。

第1位|先輩からの厳しい指導

新人時代、保険の資格確認を忘れた時に先輩から表情だけで「これだから新人は」と伝わる空気を感じたことがあります。言葉は柔らかくても、現場の緊張感はそのまま伝わります。

ただ、ここを乗り越えるコツは1つだけです。「厳しかった人が、半年後にいちばん認めてくれる人になることもある」と、先に知っておくこと。

期待があるから厳しくなる。これは元採用担当の立場から多くの先輩スタッフを見て感じた傾向です。もちろん、単に理不尽なだけの人もいるのが現実です。その場合は距離を取って構いません。

第2位|患者さんからの理不尽なクレーム

システムトラブルで会計が30分遅れた時、患者さんから怒鳴られたことがあります。新人だった私は、ただ謝ることしかできませんでした。

その時、先輩がかけてくれた言葉
「患者さんのクレームは、皆さん個人への攻撃じゃない。状況への不満だから」

この言葉は、何度か思い出しました。クレームを「自分の人格否定」と受け取らないだけで、現場の消耗はかなり軽くなります。

第3位|職場の見えない派閥

正社員とパート・派遣で空気が分かれている職場もありました。最初は休憩室で一人だった日もあります。

ただ、どちらにも与しない「中立」を保ち続けたら、結果的に両方から相談される存在になりました。派閥に飛び込むより、距離を置くほうが長期的に楽です。


新人時代に避けたいNG行動5つ

元採用担当として、入職後3ヶ月で人間関係が崩れた人には共通点がありました。

NG①|分かったフリをする

「はい、分かりました」と返事だけで終わると、後でミスが出た時の信頼ダメージが大きいです。

「もう一度確認させてください」が言える方の方が、結果的に好かれます。

NG②|特定の1人とだけ仲良くする

最初に親切にしてくれた方とだけ話していると、他の先輩から距離を置かれることがあります。全員と平等な距離を保つのが新人の鉄則です。

NG③|愚痴に積極的に乗る

「そうですよね、ひどいですよね」と同調すると、その発言が当事者に伝わることが、医療事務の現場では本当によくあります。狭い世界です。

NG④|プライベートのことをしすぎる

親しみやすさは武器ですが、業務時間中の私生活トークは「軽い」と取られるリスクがあります。休憩時間の中で適度に。

NG⑤|メモを取らない

「覚えました」と口で言いながらメモを取らない人は、教える側から「やる気がない」と見られます。メモは内容より姿勢です。


現場で効いた、シンプルな立ち回り3つ

10年以上やってきて、本当に効いた立ち回りは3つだけでした。

①「素直」になる

  • 分からないことは遠慮なく質問する
  • 指導を受けたら必ず「ありがとうございます」を返す
  • メモを取る姿勢を見せる

厳しい先輩ほど、素直な後輩には優しくなることが多いですよ。

「助かりました」「ありがとうございます」を1日に何回か口に出す。私の場合は、それだけで声をかけられる回数が増えました。

承認の総量を自分から増やす側に回るだけで、自分自身も受け取りやすくなるものです。

②派閥に巻き込まれない

  • 特定の人とだけ仲良くしない
  • 愚痴や悪口は「そうですね」で流す
  • 休憩時間は一人の時間も意識的に作る

中立でいることで「信頼できる人」という印象になりやすいですよ。

③小さな気配りを積み重ねる

  • 忙しそうな人に「手伝えることありますか」と声をかける
  • 共有スペースの整理整頓を率先する
  • コピー用紙の補充など、誰もやりたがらない雑務を進んでやる

「気の利く人」という印象は、貯金のように溜まっていきます。

ここまでは概要マップです。具体的な声かけ例・トラブル時の切り抜けフレーズ・お局さん攻略の章立ては、有料note『『医療事務、向いてないかも』入職1ヶ月で限界だった私が、辞めずに続けられた理由』(¥1,980)にまとめています。


相手別|今日から使える言い換えフレーズ

立ち回りに加えて、言葉の返し方を2つ足しておきます。

「受け止めた」のサインを早く出す

新人さんに多いのが「正しく答えなければ」と固まること。正解を探す前に「わかりました、確認します」と即返すだけで、相手のイライラが減ります。

反応の速さが、医療現場での信頼の入り口です。正解の質は、その後で取り戻せます。

「枕詞」を1つだけ持っておく

「お忙しいところすみません」を、まず1つの枕詞として持っておく。看護師さんも医師も、忙しさが原因で冷たく見えることが多いです。

枕詞があるだけで、返事の温度が変わります。

言い換えフレーズ早見表

何と言えばいいか分からない。そんな時のために、そのまま使える一言を相手別にまとめました。

どんな時 言わない方がいい一言 言い換えフレーズ
質問するとき 「これってどうすれば…?」(要点が曖昧) 「お忙しいところすみません。○○の件、3分だけよろしいですか」
すぐ答えられないとき 黙って固まる 「わかりました、確認してすぐ折り返します」
急ぎの指示を受けたとき 「えっと、今ちょっと…」 「承知しました。先に△△を片付けてから取りかかります」
ミスを指摘されたとき 言い訳・反論 「申し訳ございません、すぐ直します。原因も確認します」
手伝ってもらったとき 無言で受け取る 「助かりました、ありがとうございます」

ポイントは、長く続けず「受け止めた」と「次の一手」をセットで返すことです。忙しい現場ほど、短く的確な一言が信頼につながります。


小さなセルフケア3つ

人間関係に消耗した日に、私が続けていたこと。

  1. 帰宅後30分は仕事のことをしない:家族にもLINEにも持ち込まない時間
  2. 週1で「何もしない日」を作る:誰にも会わず、家事と昼寝だけ
  3. 月1で職場の外の方と会う:友人・家族など、利害関係のない方と話す

これだけで、「全部きつい」から「あの日だけきつい」くらいに具体化されますよ。

今夜からできる、もっと小さなこと

職場の中や今夜からできる小さなことも、3つ紹介します。

「今日あった嫌なこと」を3行だけメモする

頭の中でぐるぐる回している嫌な出来事。外に出すと小さくなります。誰にも見せないノートに3行だけ書いて閉じる。それだけで、夜の反芻が減ります。

「機嫌を読まない時間」を5分だけ作る

仕事中に「今この5分は、この業務だけに集中する」と決める。先輩の動きを目で追わない。ため息を耳でキャッチしない。5分でも、脳が休まります。

求人サイトを「眺めるだけ」眺める

応募しなくて大丈夫。登録もしなくていいです。「こんな求人があるんだ」と眺めるだけで、今の職場が世界のすべてではないと実感できます。

検索ワードは「医療事務 フルリモート」「医療事務 少人数」「医療事務 ○○市」のように、自分が避けたい条件の逆を入れると見つけやすいです。

「いつでも動ける」と知っておく。それだけで、今日の残りが少し軽くなりました。


人間関係が良い職場の見分け方|転職前のチェック

転職を考えているなら、応募する段階で見極められますよ。

求人票でチェックすべきポイント

  • スタッフの年齢層が幅広い。一部の年代に偏っていない
  • 「アットホーム」を強調しすぎない。強調が過剰な職場ほど内部に問題があるケースも
  • 離職率や平均勤続年数を数字で公開している

面接で必ず聞きたい3つの質問

  • 「新人研修の流れを教えていただけますか」
  • 「職場の雰囲気はどんな感じですか」
  • 「スタッフ同士の交流はありますか」

答え方も観察ポイントです。研修期間・担当者・チェック体制まで具体的に語れる職場は、教育が仕組み化されている可能性が高いと感じます。

逆に「見て覚えてもらう感じ」「人によりますね」と曖昧な答えが続く時は、入職後につまずきやすい職場のサインのことが多いです。

元採用担当の本音採用側の答え方で、職場の雰囲気はほぼ見抜けます。スタッフを具体的に語れる方ほど、人間関係が良好な職場でした。「いい人ばかりです」だけで終わる方の職場は、要注意です。

人間関係の固定度と定着率を見る質問

次の職場も同じかもしれないと怖い時は、もう一歩踏み込んで聞いてみてください。

面接で「受付は何人体制ですか」「長く働いているスタッフはいますか」「直近1年で何人くらい入退職がありましたか」と聞くと、人間関係の固定度や定着率がある程度わかります。

離職が多い職場は人間関係が原因のことも多いので、入退職の数字は遠慮せず確認しておくのがおすすめです。


職場タイプ別|人間関係の傾向

総合病院(規模大・スタッフ多)

  • 部署の役割を早めに覚える
  • 先輩の序列を把握する
  • 他部署とのやり取りは特に丁寧に

大きな総合病院は人数が多い分、合わない人がいても距離を置きやすいでしょう。

個人病院・小規模病院

  • 院長の方針をしっかり理解する
  • 少人数なので一人ひとりとの関係が密になる
  • 患者さんとの距離感を先輩に合わせる

フルリモート医療事務

  • テキストコミュニケーション中心で対面の摩擦がほぼゼロ
  • ただし自走力・報連相の量で評価される
  • 人間関係の悩みからの避難先として有効

私自身の経験7年間、片道50kmの高速通勤で総合病院に通っていました。人間関係の消耗が続いた結果、転職サービス経由でフルリモート医療事務に移り、職場の人間関係に頭を支配される時間が大幅に減りました。年収は60万円下がりましたが、拘束時間は年間800時間減りました。

転職して最初に変わったこと。「今日の人間関係を想像しながら出勤する」習慣がなくなりました。


転職を検討すべき4つのサイン

人間関係を改善する努力をしても、職場そのものが合わない場合があります。以下が複数当てはまるなら、環境を変える検討時期です。

  • 明らかなパワハラ・無視・公衆叱責が続いている
  • 胃痛・不眠・出勤前の動悸などの体調不良が3週間以上続いている
  • 朝起きるのが苦痛で、休日の夜に憂鬱が始まる
  • 周囲から「顔色が悪い」「痩せた」と心配されることが続く

「明らかなパワハラ」の線は、自分の感覚ではなく国の指針で確認できます。3つの要素を全部満たすものがパワハラでした。

パワーハラスメントは、職場において行われる
① 優越的な関係を背景とした言動であって、
② 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
③ 労働者の就業環境が害されるもの
であり、①から③までの3つの要素を全て満たすものをいいます。

出典:厚生労働省「事業主が講ずべきハラスメント対策」2ページ(2026年9月18日確認)

②の「業務上必要かつ相当な範囲を超えた」が、指導との分かれ目。厳しい指導そのものは、ここに当たりません。

無理に続けることが「努力」ではありません。続ける場所を選び直すことも、立派な戦略。

公的な相談先として厚生労働省 こころの耳も活用してください。

パワハラに当たるかどうかの判断は、こころの耳では扱っていないので、あかるい職場応援団か都道府県労働局へ。

職場の側に出ているサイン

自分の体調とは別に、職場そのものの構造に問題があるサインもあります。

  • 上司がパワハラ気質で、注意しても改善が見込めない
  • 慢性的な人手不足で全員に余裕がない
  • 院長・経営層に相談しても変わらない

これらが揃うと、個人の努力だけでは限界。転職は逃げではなく、構造から離れる合理的な選択です。

動く前にやっておくこと

転職は即決しなくていいです。「いつでも動ける状態」を作っておくだけで、気持ちのゆとりが変わります。

  • 医療・福祉特化の転職サイトに登録だけしておく
  • 求人を眺めるだけで「他の働き方」を知る
  • スカウト機能をオンにして待つ

私自身、片道50kmの高速通勤をしていた病院勤務時代、転職を考え始めてから、2〜3年悩み続けました。早く登録だけしておけばと今でも思います。

詳しくは 医療事務のフルリモート求人は本当にあるのか元採用担当が解説 にまとめました。


一人で抱え込まない選択肢

ここからは、私の体感ではなく国の調査です。パワハラを受けた人を対象にした数字なので、先輩の機嫌に消耗する話とそのまま重なるわけではありません。

ただ、言えないまま終わるところは、地続きだと思います。

言わないまま抱えている人は、少なくありません

パワハラ、セクハラを受けた後の行動としては、「何もしなかった」(それぞれ36.9%、51.7%)が最も多く、その次にパワハラにおいてはその次に「家族や社外の友人に相談した」(19.3%)、セクハラにおいては「社内の同僚に相談した」(14.7%)が続いた。

出典:厚生労働省「令和5年度 職場のハラスメントに関する実態調査報告書」17〜18ページ/2026年9月18日に確認

いちばん多い行動が「何もしなかった」。図で見ると、その多さがよく分かります。

ハラスメントを受けた後の行動のグラフ。パワハラでは「何もしなかった」が36.9%でいちばん多く、次いで家族や社外の友人に相談した19.3%、社内の同僚に相談した18.3%、社内の上司に相談した17.9%、会社を退職した14.9%。社内の相談窓口に相談したは4.5%、公的な機関に相談したは3.1%にとどまる。

出典:厚生労働省「令和5年度 職場のハラスメントに関する実態調査報告書」139ページ 図表159/画像はタップで拡大

社内の相談窓口に相談した人は4.5%。窓口があっても、そこまで届いていません。

その理由も調べられていました。

ハラスメントを受けて何もしなかった理由としては、パワハラ、セクハラ、顧客等からの著しい迷惑行為のいずれにおいても、「何をしても解決にならないと思ったから」が最も多く、それぞれ65.6%、52.7%、56.1%であった。

出典:厚生労働省「令和5年度 職場のハラスメントに関する実態調査報告書」17〜18ページ/2026年9月18日に確認

「何をしても解決にならないと思ったから」が65.6%。言わない人が多いのは、性格の問題ではないわけです。

そして、伝わった先でも止まります。

ハラスメントを知った後の勤務先の対応としては、パワハラとセクハラでは「特に何もしなかった」が最も高く、それぞれ53.2%と42.5%であった。

出典:厚生労働省「令和5年度 職場のハラスメントに関する実態調査報告書」17〜18ページ/2026年9月18日に確認

言っても半分は動かない。この数字を知ったうえで「言うか、言わないか」を決めていいと思います。

言わないことを選んでも、弱いからではありません。

職場の外の窓口を使う

家族にも友人にも話せない時は、公的な窓口を頼ることもできます。上で挙げたこころの耳・あかるい職場応援団以外だと、次の2つ。

  • 総合労働相談コーナー(各都道府県労働局):職場のトラブル全般を無料相談できる窓口
  • 各都道府県の労働局・労働基準監督署

「相談するほどじゃない」と感じる時こそ、一度話してみる価値があります。匿名で利用できる窓口もあるので、ハードルは思っているより低いです。

うまく言葉にできなくても大丈夫ですよ。「職場の人間関係で疲れていて、辞めるほどでもないけどしんどいです」とだけ伝えれば、あとは相手が聞き出してくれます。

事実関係を整理してから話す必要はありません。


よくある質問(FAQ)

Q1. 新卒・未経験で医療事務に入ると、人間関係で潰されますか?

潰されるかどうかは、職場選びと最初の3ヶ月の振る舞いで決まります。

教育体制が整った職場で、上記NG行動を避ければ、多くの場合、3ヶ月ほどで立場は落ち着いてきます。

Q2. 「お局さん」が怖いです。対処法はありますか?

お局さん的な存在は、どの病院にも一定数いるものです。敵対も媚びもしない「丁寧な距離感」が最強です。

挨拶を欠かさず、業務上の依頼は正確に、それ以外は深入りしない。

これだけで角が立ちません。

Q3. 派閥対立に巻き込まれてしまいました

すぐに離脱してください。一度どちらかに付くと、もう片方からは永久に距離を置かれます。「私はどちらにも与しない」を行動で示すのが正解です。

Q4. 相談する勇気が出ません

「相談=弱音」ではなく「相談=業務改善の提案」と捉え直してみてください。

「教育担当を固定したい」「シフトの偏りを見直したい」など、業務側のこととして持っていくと、上司も動きやすくなります。

職場の人に言いにくい時の最初の相談は、家族でも友人でもなく「匿名で使える公的窓口」をおすすめします。利害関係がない相手の方が、本音を出しやすいからです。

Q5. 人間関係を理由に転職する時、面接でどう伝えればいいですか?

「人間関係が嫌で」とそのまま伝えると、マイナスに受け取られやすいです。

「より連携の取れた環境で長く働きたい」など、前向きな動機に言い換えると印象が変わります。

Q6. 派遣・パートでも人間関係はきついですか?

雇用形態より職場文化で決まるのが実情です。派遣でも雰囲気の良い病院もあれば、正社員でも消耗する職場もあります。

最初の3ヶ月で見極めて、合わなければ早めに動くほうが長期的に得です。

Q7. 体調を崩してから動くのは遅すぎますか?

遅すぎることはありません。ただし体調不良が3週間以上続いているなら、心療内科への受診と転職活動を並行することをおすすめします。

診断書は休職・転職時に大きな支えです。

Q8. 先輩に質問しても冷たくあしらわれます。どうすれば?

冷たさは、多くの場合「忙しさ」から。「お時間のある時で大丈夫です」と一言添えるだけで、返事の温度が変わります。

3回試して変わらなければ、別の先輩を窓口に。そういう選択もありますよ。

Q9. 医師に怒鳴られた時はどう返せばいいですか?

その場は「申し訳ございません、今すぐ確認します」で受けます。私はそこで説明を足そうとして、余計に長くなったことが何度もありました。

落ち着いた後、上司に経緯を共有しておくと、次回以降の対策につながります。

Q10. パワハラだと感じた時、どこに相談すればいいですか?

院内の相談窓口、なければ労働基準監督署、医療業界専門のホットラインがあります。録音・メモ・メールなど、証拠の保全が最優先です。

1人で抱え込まないでください。

Q11. 「そのくらい我慢しなよ」と言われてしまいます

しんどさに正当な理由は要りません。「最悪じゃない」「もっとひどい職場もある」は、ご自身のしんどさを否定する理由にはなりません。比較より「自分がどう感じているか」を優先していい。

Q12. 転職してもまた人間関係で悩むのでは?

職場ガチャは確かにありますよね。ただし「面接で雰囲気を確認する」「動画付き求人で職場の空気を見る」を徹底すれば、ミスマッチは大幅に減らせます。

面接で聞く質問は、上の見分け方にまとめています。

Q13. フルリモートに転職したら人間関係の悩みはなくなりますか?

完全になくなるわけではないですが、機嫌を読みながら同じ空間に8時間いることのストレスは大きく減ります。私自身、転職後に「人間関係の悩みがほぼゼロになった」と感じています。


「個人」と「構造」を分けて考える

医療事務の人間関係は、ネットで言われるほど一律に酷くありません。ただし、何も知らずに飛び込むと消耗するリスクは確かにあります。

  • きつさは「個人の問題」と「組織の問題」を切り分けると正体が見える
  • 困りごとは3つに絞れる。先輩の厳しさ/クレーム/派閥
  • 立ち回りの基本は「素直さ・中立・気配り」
  • 体調不良が3週間以上続くなら転職を検討
  • 一人で抱えず、公的窓口や有料note等の支援も活用

転職は逃げではなく、自分らしく働ける環境を選び直す前向きな行動です。


体系的に職場の人間関係を改善したいなら:『医療事務、向いてないかも』入職1ヶ月で限界だった私が、辞めずに続けられた理由(¥1,980)


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著者プロフィールゆう|総合病院で医療事務10年以上。うち3年間は元採用担当として多くの方を面接。7年間、片道50kmの高速通勤を続けたのち、現在はフルリモートの医療事務として算定業務を担当。3児の父。「もうひとりで悩まない医療事務」を届けるため発信中。

最終更新日:2026年9月23日