4月。
新しいスーツに袖を通して、
慣れない革靴で歩く朝。

期待と不安がごちゃまぜになって、
胃のあたりがきゅっとする。

この記事を開いてくれたということは、
きっと今、こんな気持ちを抱えているんじゃないでしょうか。

「ちゃんとやれるかな」
「周りについていけるかな」
「自分、この仕事向いてるんかな…」

大丈夫です。
その不安、めちゃくちゃ正常です。

実は調査でも、内定者の約8割が
「社会人になるのが不安」と感じているというデータがあります。

つまり、不安じゃない人のほうが珍しい。

そしてここからが大事な話。

私は総合病院で10年間、医療事務として働いてきました。
今でこそ偉そうにこんな記事を書いていますが、
社会人1日目の私は、本当にボロボロでした。

この記事では、
そんな私が「最初の1ヶ月」をどうやって乗り越えたか、
そして不安を消すために一番効いた「たった1つのこと」
お伝えします。


初出勤の日、私は何もできなかった

10年前の4月1日。

総合病院の医療事務として初出勤した日のことを、
今でもはっきり覚えています。

朝8時、受付カウンターに立った瞬間、
頭の中が真っ白になりました。

患者さんが保険証を出してくれたけど、
社保と国保の違いがわからない。

電話が鳴ったけど、
どのボタンを押せば内線に繋がるのかわからない。

先輩に聞きたいけど、
みんな忙しそうで声をかけるタイミングがつかめない。

午前中だけで、冷や汗を3リットルくらいかいた気がします。
(たぶん実際は500mlくらいですが、体感は3リットルです)

お昼休憩のとき、
トイレの個室で天井を見上げながらこう思いました。

「自分、向いてないんちゃうか」

これが私の、社会人1日目のリアルです。


帰り道に気づいた「ある事実」

その日の帰り道、イヤホンで音楽を聴きながら歩いていたとき、
ふと気づいたことがありました。

「今日、自分が『できたこと』って何かあったっけ?」

思い返してみると、できなかったことばかりが浮かんでくる。
保険証の種類を間違えた。
電話を保留にするつもりが切ってしまった。
先輩の名前を覚えられなかった。

でも、よくよく考えてみたら——

朝、受付に座れた。
「おはようございます」は言えた。
患者さんに「お大事に」と声をかけた。
メモは、走り書きだけど取っていた。

「あれ、意外とやれてたんちゃう…?」

このとき私は、
人間の脳には「できなかったこと」ばかり記憶する
ちょっと意地悪な癖があるんだと気づきました。

たとえるなら、テストで90点を取ったのに、
間違えた10点のことだけ延々と悩んでいる状態。

「できたこと」は、意識して拾いに行かないと消えてしまう。

これがのちに私を救うことになる、
「成功体験」という考え方との出会いでした。


翌朝、私は「1つだけ」決めた

翌日の朝、出勤前にコンビニでコーヒーを買いながら、
自分にひとつだけ約束しました。

「今日の目標は、患者さんに笑顔で挨拶すること。それだけ。」

保険証の種類を全部覚えるとか、
電話対応を完璧にするとか、
そんな大きなことは一旦全部忘れる。

今日は、笑顔。それだけ。

受付に座って、最初の患者さんが来ました。
80代くらいのおばあちゃん。

「おはようございます。今日はどうされましたか?」

自分でも驚くくらい、自然に笑顔が出た。

するとおばあちゃんが、
こう言ってくれたんです。

「ありがとう、あんたええ笑顔やね」

——たった、それだけ。

でも、その一言で胸の奥がじんわり温かくなって、
目の奥がツンとしました。

「自分、ここにいてもいいんや」

そう思えた瞬間でした。


「成功体験」は自分で作れる

ここで少し、大事な話をさせてください。

「成功体験」と聞くと、
大きなプロジェクトを成功させたとか、
売上目標を達成したとか、
そういう派手なものを想像するかもしれません。

でも、違うんです。

特に社会人1ヶ月目に必要な成功体験は、
「今日、自分にもできた」という小さな実感のこと。

たとえるなら、RPGの最初の村みたいなもの。

いきなりラスボスに挑む人はいませんよね。
まずは村の周りでスライムを倒して経験値を貯める。
レベルが上がったら、少し遠くに冒険してみる。

仕事も同じです。

最初から「完璧にこなす」を目標にすると、
ラスボスにレベル1で突っ込むようなもの。
そりゃ負けます。心が折れます。

だからまずは「スライム」を見つけること。
自分が今日できる、一番小さな「できた」を見つけること。

これが成功体験の正体です。


具体的な「スライムの見つけ方」5選

「小さな成功体験が大事なのはわかった。
 でも具体的に何をすればいいの?」

そう思った方のために、
私が医療事務1ヶ月目に実際にやっていた
「今日のスライム討伐リスト」を紹介します。

① 朝、元気に挨拶する

これが一番のおすすめです。
「おはようございます」を
相手の目を見て言えたら、それだけで1勝。

実は私の経験上、
医療事務の先輩たちが新人に好印象を持つ瞬間の第1位が
「挨拶がちゃんとできる子」でした。

スキルより先に、挨拶。
これは断言できます。

② メモを1つ取る

先輩の説明を全部メモする必要はありません。
「今日、一番大事だと思ったこと」を1つだけ書く。

私の場合、初日のメモはこうでした。

「保険証は必ず両面コピー」

たった一行。でもこの一行が、翌日ちゃんと役に立った。
その瞬間、「昨日の自分、ナイス」と思えました。

③ 「すみません、教えてください」を1回言う

新社会人の多くが陥る罠があります。
「こんなこと聞いたら迷惑かな」という遠慮です。

でも安心してください。
先輩からすると、質問してくれる新人のほうが100倍ありがたい。

なぜなら、黙って間違えられるほうが
後からのリカバリーが大変だから。

「聞くのは一瞬の恥、聞かぬは一生の恥」
——おばあちゃんの知恵袋みたいな言葉ですが、
これ、社会人になると痛いほど実感します。

④ 帰りに「今日できたこと」を1つ思い出す

これが一番大事な習慣かもしれません。

帰り道、スマホを開く前に5秒だけ考える。

「今日、自分にできたことって何があったかな?」

挨拶ができた。メモを取れた。
先輩に質問できた。電話に出られた。
患者さんに「お大事に」と言えた。

何でもいい。
それを心の中で「よくやった」と認めてあげる。

これは筋トレと同じです。
毎日やっていると、
「できた」を見つける筋肉がどんどん育っていく。

1ヶ月後には、自分でも驚くくらい
心の土台がしっかりしているのを感じるはずです。

⑤ できた自分を、自分で褒める

「そんなの恥ずかしい」と思うかもしれません。
でも、これが意外と効きます。

私は毎晩、布団の中で小さくつぶやいていました。

「今日も生き延びた。私、えらい。」

誰かに聞かせるわけじゃない。
自分だけのための、自分だけの言葉。

これを続けていたら、
1ヶ月目の終わり頃には
「明日も大丈夫かもしれない」と
自然に思えるようになっていました。


1ヶ月後の私に起きた変化

こうやって「小さなできた」を拾い続けた結果、
1ヶ月後の私には、ある変化が起きていました。

受付で患者さんの顔を見る余裕ができていた。

初日は自分のことで精一杯で、
患者さんの表情なんて見る余裕はゼロだった。

でも1ヶ月、
毎日スライムを倒し続けた結果、
少しだけレベルが上がっていたんです。

受付で「耳が遠そうだな」と気づいたら、
少し大きめの声で話すようにした。

待合室でイライラしている方がいたら、
「お待たせして申し訳ございません」と一声かけた。

すると看護師さんから
「助かったわ。ありがとう」と言ってもらえた。

あの初日、トイレで天井を見上げていた私が、
1ヶ月で「ありがとう」と言われる存在になれた。

特別なことは何もしていません。
毎日「今日の小さなできた」を拾い続けただけ。

成功体験は、誰かに与えてもらうものじゃない。
自分で作るものです。


さいごに──社会人1ヶ月目のみなさんへ

ここまで読んでくれたみなさんに、
最後にひとつだけ伝えたいことがあります。

社会人1ヶ月目は、「できない」が当たり前の季節です。

桜が一晩で満開にならないように、
仕事も一瞬でできるようにはなりません。

でも、毎日少しずつ咲いていけばいい。

今日、職場のドアを開けて
「おはようございます」と言えたら、
もうそれは立派な成功体験です。

10年前、何もできなくて泣きそうだった私が、
今こうして「大丈夫だよ」と伝えられている。

だから信じてほしい。

1ヶ月後の自分は、今の自分が思っているよりも
ずっと、ずっと強くなっている。

明日の朝、
もし不安で足が重くなったら、
この記事のことを少しだけ思い出してください。

そして、こうつぶやいてみてください。

「今日のスライム、1匹だけ倒せたら合格やん」

それだけで十分です。
応援しています。


最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

「わかる」「自分もそうだった」と感じてもらえたら、
スキ♡を押してもらえると嬉しいです。

先輩社会人のみなさんも、
「自分の1ヶ月目はこうだった」というエピソードがあれば、
ぜひコメントで教えてください。

きっと、誰かの背中をそっと押す言葉になるから。

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