ゆう|もうひとりで悩まない医療事務note ↗

後期高齢者の3割で区分がわからない時|入院費の上限と窓口の伝え方

お金と制度by ゆう|医療事務ブロガー公開日 2026/10/04

「3割の患者さんに入院費の概算を聞かれたけれど、上限をいくらで伝えればいいのか分からない」
資格確認書に書いてあるのは「3割」だけ。手元の早見表を開くと、見る資料によって金額が違う。迷った新人さんは、多いはずです。

9月の終わりに、LINEでも同じ相談をもらいました。この記事を書いたきっかけです。
3つの総合病院で医療事務を10年以上続けてきた立場から、窓口で迷わない順番をまとめますね。

この記事でわかること

  • 3割の後期高齢者が、現役並みⅠ・Ⅱ・Ⅲに分かれるしくみ
  • 区分がわからない時、レセプトではどう扱うか(記載要領の原文)
  • 2026年8月診療分からの上限額と、7月までとの違い
  • 概算を伝える時の言い回しと、区分がわかる方法

結論は2つです。

  • レセプトは、3割の資格確認書だけなら「区ア」。現役並みⅢの扱いで、記載要領に原文があります
  • 窓口の概算は、公的な決まりが見つかりませんでした。私は、現役並みⅢの金額に「区分が確認できるまでは」と一言つけて伝えています

区分がわかれば、その区分の上限です。

今やること手元の早見表が、8月からの金額か見る。資格確認書に限度区分の記載がなければ、院内ルールに従う。
▼ 伝え方へ

3割の後期高齢者は、3つの区分に分かれます

後期高齢者医療で窓口負担が3割の人は、住民税の課税所得で、現役並みⅠ・Ⅱ・Ⅲに分かれます。資格確認書に書いてあるのは「3割」まで。

どの区分かは、見ただけではわかりません。

区分 住民税の課税所得
現役並みⅢ 690万円以上
現役並みⅡ 380万円以上690万円未満
現役並みⅠ 145万円以上380万円未満

本人だけでなく、同じ世帯の後期高齢者医療の被保険者も、同じ区分で見ます。課税所得が690万円以上でも、収入によっては申請で1割や2割になる人もいます。

区分を判定するのは、保険者の側の後期高齢者医療広域連合。窓口で決める必要はありません。
やるのは、確認できた区分で案内することだけ。

区分がわからない時、レセプトは「区ア」です

3割の資格確認書の提示だけで、区分の情報も確認できない時。記載要領には、こう書かれています。

70歳以上で以下のいずれかに該当する場合
① 「標準報酬月額83万円以上(国民健康保険及び後期高齢者医療にあっては、課税所得690万円以上)の世帯」の高齢受給者証若しくは後期高齢者医療資格確認書(一部負担金の割合(3割))の提示のみ又は高齢受給者証情報若しくは後期高齢者医療資格確認書情報の提供のみの場合

70歳以上の場合であって、「標準報酬月額83万円以上(国民健康保険及び後期高齢者医療にあっては、課税所得690万円以上)の世帯」の高齢受給者証若しくは後期高齢者医療資格確認書(一部負担金の割合(3割))の提示のみ若しくは高齢受給者証情報若しくは後期高齢者医療資格確認書情報の提供のみの場合(中略)には、「特記事項」欄に「区ア」と記載すること。

出典:厚生労働省「診療報酬請求書等の記載要領等について」令和8年3月27日保医発0327第2号(訂正後)より

上は別添1の特記事項の表(26 区ア)の①のみを引用しました。②は特定医療費受給者証などの場合です。下は診療報酬明細書の記載の説明です。

つまり、3割の資格確認書を出されただけなら、特記事項は区ア。
課税所得690万円以上の世帯、現役並みⅢの扱いです。

窓口の概算は、どう伝えるか

窓口の概算に、公的な決まりは見当たりません。
院内のルールがあれば、そちらが先です。

私は、レセプトと同じ現役並みⅢで計算した金額を、「区分が確認できるまでは」と一言つけて伝えるやり方が、いちばん誤解が少ないと考えています。

実際の上限が低ければ、患者さんにとっては、伝えた金額より少ない負担で済むからです。ただ、先に多く払った場合は、戻りを待つことになります。

総医療費が10割で100万円の月。3つの区分の上限を、並べてみましょう。

区分 計算式 1か月の上限
現役並みⅢ 270,300円+(1,000,000円−901,000円)×1% 271,290円
現役並みⅡ 179,100円+(1,000,000円−597,000円)×1% 183,130円
現役並みⅠ 85,800円+(1,000,000円−286,000円)×1% 92,940円

Ⅲの金額で支払いを済ませたあと、実は現役並みⅠだったとしたら。この例では、178,350円多く払った計算です。
差は大きい。だから、概算には「区分が確認できるまでは」の一言が欠かせません。

私の言い方の一例です。

「区分が確認できるまでは、上限がいちばん高い区分で計算した金額をお伝えしています。区分がわかるマイナ保険証か資格確認書をお見せいただければ、その区分の上限です」

区分がわかる方法は、基本の2つ

窓口で区分を確認する方法は、基本の2つです。

  1. マイナ保険証:利用すれば、事前の手続きなしで、限度額を超える支払いが免除されます
  2. 限度区分が書かれた資格確認書:マイナ保険証を持っていない人が、申請して限度区分を併記してもらう

後者について、愛知県後期高齢者医療広域連合は、こう案内しています。

マイナ保険証をお持ちでない方で、区分II、Iもしくは現役並み所得II、Iに該当する方は、申請により資格確認書に限度区分を併記します。限度区分の併記された資格確認書を医療機関へ提示していただくと、自己負担限度額までの支払になります。

出典:愛知県後期高齢者医療広域連合「自己負担限度額」、2026年7月15日更新

併記の対象に、現役並みⅢは挙がっていません。区分の併記がある資格確認書を出された時は、その区分の限度額までの支払いで済みます。

多く払った分は、申請すると戻ります

上限を超えて払った分は、申請すると高額療養費として戻ります。ただし、申請が要る。「必ず戻る」とは言い切らないでおきましょう。

神奈川県後期高齢者医療広域連合の案内では、次のとおりです。

  • 診療月の3〜5か月後に、申請の案内と申請書が届く
  • 申請してから2〜4か月後に、指定の口座へ振り込み
  • 一度申請すれば、次回からは自動で振り込み
  • 入院時の食事代や差額ベッド代など、保険診療の対象外のものは、計算に入らない

出典:神奈川県後期高齢者医療広域連合「高額療養費」、令和8年7月30日更新

これは神奈川県の運用です。ほかの都道府県は、案内が違うかもしれません。

患者さんから「戻ってくるんですか?」と聞かれた時の一言です。

「上限を超えた分は、申請していただくと戻ります。診療月の数か月後に、お住まいの地域の広域連合から案内が届きますので、そちらでお手続きをお願いします」

2026年8月診療分から、金額が変わりました

3割の人の1か月の上限は、2026年8月診療分から変わっています。7月診療分までの表が、手元に混ざっていませんか?

区分 8月診療分から(〜2027年7月)の上限 多数回該当(4回目から) 7月診療分まで
現役並みⅢ 270,300円+(医療費−901,000円)×1% 140,100円 252,600円+(医療費−842,000円)×1%
現役並みⅡ 179,100円+(医療費−597,000円)×1% 93,000円 167,400円+(医療費−558,000円)×1%
現役並みⅠ 85,800円+(医療費−286,000円)×1% 44,400円 80,100円+(医療費−267,000円)×1%
  • 医療費は、総医療費の10割分
  • 多数回該当は、年に4回以上、高額療養費に該当する人の自己負担をさらに軽くする仕組み。4回目以降の金額は、7月までと同じで据え置き

出典:厚生労働省「患者負担割合及び高額療養費自己負担限度額(令和8年8月~令和9年7月)」、愛知県後期高齢者医療広域連合「自己負担限度額」より。

さらに、2027年8月診療分からは、現役並みⅠ・Ⅱ・Ⅲがそれぞれ3つに分かれます。

区分 課税所得 2027年8月診療分から
現役並みⅢ 1,107万円以上 342,000円+(医療費−1,140,000円)×1%
現役並みⅢ 900万円以上 303,000円+(医療費−1,010,000円)×1%
現役並みⅢ 690万円以上 270,300円+(医療費−901,000円)×1%
現役並みⅡ 614万円以上 209,400円+(医療費−698,000円)×1%
現役並みⅡ 504万円以上 194,400円+(医療費−648,000円)×1%
現役並みⅡ 380万円以上 179,100円+(医療費−597,000円)×1%
現役並みⅠ 280万円以上 110,400円+(医療費−368,000円)×1%
現役並みⅠ 203万円以上 98,100円+(医療費−327,000円)×1%
現役並みⅠ 145万円以上 85,800円+(医療費−286,000円)×1%

多数回該当は、現行の金額のまま据え置きです。

手元の早見表で、先に見ること

古い表が混ざると、概算がずれます。見るのは、この2つ。

  1. 8月からの金額か:現役並みⅢの式が、270,300円から始まっているか
  2. いつまでの金額か:この金額は2027年7月診療分まで。2027年8月からは、上の表のとおり3つずつに分かれます

よくある質問(FAQ)

Q. 資格確認書に「限度区分」が書いてある場合は?

その区分の限度額までの支払いです。区分を窓口で決める必要はありません。

Q. 1割・2割の人にも、同じ考え方ですか?

この記事は、3割の人だけが対象です。

1割・2割の上限は別の表なので、高額療養費の自己負担限度額の記事で確認を。

Q. Ⅲの金額で払ったあと、区分がわかった場合は?

上限を超えて払った分は、高額療養費として申請できます。案内の時期は地域によって違うので、窓口では、広域連合から案内が届くことを伝えるところまでで足ります。

Q. 概算を聞かれた時、金額のほかに何を伝えますか?

食事代や差額ベッド代が、上限とは別にかかること。この2つは、私は金額と一緒に伝えています。

窓口で迷わないために

  1. 区分がわからない時のレセプトは、原則「区ア」。現役並みⅢの扱いです
  2. 概算は、公的な決まりが見つからなかったので、私は「確認できるまでは」と一言つけて、現役並みⅢの金額で伝えています。院内ルールがあれば、そちらが先です
  3. 区分の確認は、マイナ保険証か、限度区分つきの資格確認書で

まずは、窓口の早見表が8月からの金額になっているか、見てみるところから。

資格確認まわりの基本は、無料の受付で固まらない制度早見表PDFにもまとめています。

参考にした資料

関連記事

■ 著者プロフィール3つの総合病院で医療事務10年以上、うち1つで元採用担当を3年。
現在はフルリモートの医療事務として算定業務を担当。3児の父。
「もうひとりで悩まない医療事務」を届けるため発信しています。

最終更新日:2026年10月4日

この記事を保存する

この端末に保存されます。登録は不要です。保存した記事はこちらから読めます。

この記事をシェア:𝕏 ポストLINE

感想・質問はSNSで教えてください

読んでみての感想や、記事への質問など
気軽にメッセージしてもらえると嬉しいです

📸 Instagramでメッセージ

🔥 こちらもおすすめ

ベースアップ評価料が給料に反映されない?医療事務が制度のからくりを解説

続きを読む →

限度額適用認定証と高額療養費の違いは?30秒で説明できる早見表

続きを読む →

限度額適用認定証とは?申請方法とマイナ保険証での代用を解説

続きを読む →

← 記事一覧に戻る