「また電話が鳴ってる...今度はどんなクレームかな」
受話器を取る前に、心臓がドキドキして、手のひらに汗をかいてしまう。そんな経験、ありませんか?
私も医療事務として働き始めた頃、本当に毎日が憂鬱でした。
患者さんからの厳しい言葉に、夜も眠れなくなってしまったことも。
「私って、この仕事向いてないのかな」
「みんなはどうやって上手に対応してるんだろう」
って、一人で悩み続けていました。
でも大丈夫。あなたは決して一人じゃありません。
このガイドは、そんな辛い思いをしているあなたのために作りました。患者さんの怒りを6つのレベルに分けて、それぞれの温度に合わせた「魔法のフレーズ」と具体的な対応方法を、本当に分かりやすくお伝えします。
読み終わる頃には、きっと「明日からのクレーム対応、ちょっと楽になりそう」って思えるはずです。
なぜ患者さんは怒るのか?根本的な理由を知ろう
「私のせい?」と自分を責める前に知ってほしいこと
患者さんから厳しい言葉をもらった後、一人になると「私が何か悪いことをしたのかな」「もっと上手に説明できたら良かったのに」って、自分を責めてしまいますよね。
私もそうでした。家に帰っても、お風呂に入っていても、患者さんの怒った顔が頭から離れなくて。「明日、また会ったらどうしよう」って不安で仕方ありませんでした。
でも、先輩から教わったことがあります。
患者さんが怒る理由は、実はとてもシンプル。
「期待していたことと違った」、それだけなんです。
例えば、こんなことってありませんか?
朝一番で来院された患者さん。「朝イチだから、すぐ診てもらえると思った」のに、実際は予約の方が優先で1時間待ちだった。
薬をもらいに来た患者さん。「いつもの薬をサッともらって帰れると思った」のに、先生から「今日は少し様子を聞かせてください」と言われて診察室に通された。
検査結果を聞きに来た患者さん。「詳しく説明してもらえると思った」のに、先生が忙しそうで「特に問題ありませんね」の一言で終わってしまった。
患者さんの心の中にある「こうあってほしい」という思いと、目の前の「現実」にギャップがあると、がっかりしたり、怒ったりしてしまうんです。
クレームは「コミュニケーション」の一つ
ここで大切なことをお話しします。
クレームは、あなた個人への攻撃ではありません。
患者さんは、あなたのことを嫌いになったり、あなたを困らせようとして怒っているわけじゃないんです。ただ、自分の期待と現実のギャップに戸惑って、その気持ちをどう表現していいか分からないだけ。
だから、クレームは「期待と現実のズレ」を埋めるための、ちょっと激しめのコミュニケーションなんだって思えば、少し気持ちが楽になりませんか?
クレーム対応の基本の「き」- 3つのステップ
ステップ1:最後まで聞く(傾聴の力)
「でも、でも、そうじゃなくて」って、つい言い返したくなる気持ち、よく分かります。
特に、患者さんが間違った情報をもとに怒っている時は、「それは誤解です!」ってすぐに説明したくなりますよね。
でも、ちょっと待って。
患者さんが話し始めたら、まずは最後まで聞くことから始めましょう。途中で口を挟まずに、じっくりと耳を傾けてください。
この時のコツは、相づちです。
「はい」「そうですね」「ええ」と、少し大きめの声で相づちを打ちながら聞く。これだけで、患者さんは「この人は、私の話をちゃんと聞いてくれているんだ」って安心します。
私の経験では、患者さんって、最初は感情的になっていても、自分の話を最後まで聞いてくれる人には心を開いてくれることが多いんです。
ステップ2:気持ちに寄り添う(共感の魔法)
患者さんの話を聞いた後、すぐに解決策を提案したくなりますが、その前にとても大切なことがあります。
患者さんの気持ちに寄り添うこと。
「それは不快な思いをさせてしまって、申し訳ございません」 「お忙しい中、お時間をいただいているのに、ご迷惑をおかけして」 「せっかく来院していただいたのに」
こういった、患者さんの感情に対する共感の言葉を伝えてください。
ここで注意したいのは、必ずしも「私たちが悪い」と認めるわけではないということ。患者さんが「嫌な気持ちになった」という事実に対して、申し訳なく思う気持ちを伝えるんです。
この一言があるだけで、患者さんの怒りはスッと落ち着きやすくなります。
ステップ3:解決策を一緒に考える
患者さんの気持ちが少し落ち着いてきたら、いよいよ解決策を提案する段階です。
でも、「こうしてください」と一方的に伝えるのではなく、「どうしたら良いか、一緒に考えさせてください」というスタンスが大切。
「すぐに解決するのは難しいのですが、○○のように対応させていただけたらと思うのですが、いかがでしょうか?」
「いくつか方法があるのですが、○○様はどちらがよろしいでしょうか?」
このように、患者さんも解決のプロセスに参加してもらうことで、「一緒に解決してくれているんだな」という気持ちになってもらえます。
怒りの温度計 - 6段階のレベル分け
患者さんと向き合う時、「この人、今どれくらい怒っているんだろう?」って思いますよね。
相手の怒りのレベルが分かれば、対応方法も変わってきます。声のトーンや表情、話すスピードを観察して、客観的に判断してみましょう。
レベル0【疑問・困惑】
「あれ?これってどういうことですか?」
まだ怒りではなく、単純に分からなくて困っている状態です。
特徴:
落ち着いた口調
首をかしげるような仕草
「教えてください」というニュアンス
対応のポイント: この段階では、丁寧に説明するだけで解決することがほとんど。むしろ、「分からないことを聞いてくださって、ありがとうございます」という気持ちで対応しましょう。
レベル1【軽いイライラ】
「ちょっと、対応が遅くないですか?」
少し不満を感じ始めているけれど、まだ冷静に話ができる段階です。
特徴:
口調に少し不満が混じる
ため息をつくことがある
時計を見る、足を組み直すなどの仕草
対応のポイント: この段階で丁寧に対応すれば、大きなトラブルには発展しません。相手の気持ちを受け止めて、具体的な説明をしてあげましょう。
レベル2【明らかなイライラ】
「さっきから何度も同じことを言ってるんですけど!」
語気が荒くなり、感情的になり始める段階です。
特徴:
声が大きくなる
手振りが激しくなる
同じことを繰り返し言う
周りの人も気にするレベルの声
対応のポイント: ここからは本格的なクレーム対応が必要です。まずは謝罪と共感で、相手の気持ちを落ち着かせることを最優先に。
レベル3【激怒】
「いい加減にしてください!」(怒鳴り声)
完全に感情が爆発している状態。威圧的な態度も見られます。
特徴:
怒鳴り声
机を叩く、椅子を蹴るなどの行動
顔が赤くなる
院内の他の患者さんも振り返るレベル
対応のポイント: この段階では、まず場所を変えることを提案。他の患者さんへの影響も考慮して、個室や相談室での対応を検討しましょう。
レベル4【暴言・個人攻撃】
「お前の名前は何だ!」「責任者を出せ!」
業務妨害や個人攻撃が始まる段階。常識的な範囲を超えています。
特徴:
罵倒や人格否定の言葉
個人情報を聞き出そうとする
長時間の拘束
不当な要求
対応のポイント: あなた一人では対応せず、必ず上司や責任者に報告。毅然とした態度で対応することが必要です。
レベル5【暴力・業務妨害】
実際に手が出る、物を投げるなど
暴力行為や深刻な業務妨害が発生している状況。
特徴:
物理的な暴力
器物破損
長時間の居座り
他の患者さんへの迷惑行為
対応のポイント: 即座に上司に報告し、場合によっては警察への通報も検討。あなたの安全が最優先です。
【レベル別】魔法のフレーズ集
レベル0-1への対応:優しく丁寧に
まだ患者さんが冷静なうちは、丁寧な説明と親身な対応で十分です。
🌟 使える神フレーズ
状況を確認する時: 「申し訳ございません。詳しい状況を教えていただけますでしょうか?」 「○○様のお気持ち、よく分かります。もう少し詳しくお聞かせください」
説明する時: 「ご説明が不足していて申し訳ございませんでした。実は...」 「分かりにくくて申し訳ございません。こういう理由でして...」
解決策を提案する時: 「いくつか方法があるのですが、○○様はどちらがよろしいでしょうか?」 「すぐにできることとしては、○○があります」
実際の使用例:
患者さん:「予約の時間になっても呼ばれないんですけど...」
あなた:「申し訳ございません。お待たせして本当に申し訳ございません。詳しい状況を確認させていただけますでしょうか?お名前とご予約のお時間を教えていただけますか?」
(確認後)
あなた:「○○様、お忙しい中お越しいただいたのに、大変お待たせしてしまい申し訳ございません。実は、前の患者様の診察が長引いてしまいまして。あと10分ほどでお呼びできる予定です。お時間の方は大丈夫でしょうか?」
レベル2-3への対応:共感とクールダウン
感情が高ぶっている患者さんには、まず気持ちを落ち着かせることが最優先です。
🌟 使える神フレーズ
最初の謝罪: 「この度は、ご不快な思いをさせてしまい、誠に申し訳ございません」 「せっかくお越しいただいたのに、ご迷惑をおかけして申し訳ございません」
共感を示す: 「○○様のお気持ち、本当によく分かります」 「確かに、そのような状況でしたら、お怒りになるのも当然だと思います」
場所を変える提案: 「よろしければ、こちらでゆっくりとお話をお聞かせください」 「お忙しい中申し訳ございませんが、別室でお話を伺わせていただけませんでしょうか?」
実際の使用例:
患者さん:「さっきから30分も待ってるのに、何の説明もない!どうなってるんだ!」
あなた:「大変申し訳ございません。30分もお待たせしてしまって、本当に申し訳ございませんでした。○○様のお気持ち、よく分かります。お忙しい中お越しいただいたのに、このような状況で本当に申し訳ございません。よろしければ、こちらの相談室で詳しい状況をご説明させていただけませんでしょうか?」
ポイント:
怒りの「原因」ではなく「感情」に対して謝る
患者さんの立場に立って共感する
他の患者さんへの配慮も忘れずに
レベル4-5への対応:毅然とした態度で
この段階では、あなたの安全と職場の秩序を守ることが最優先です。
🌟 使える神フレーズ
境界線を示す: 「○○様、大変申し訳ございませんが、そのようなお言葉でのご対応は、私どもとしても対応いたしかねます」 「申し訳ございませんが、このままですと業務妨害とみなされる可能性がございます」
責任者への引き継ぎ: 「責任者からご説明させていただきたいと思います。少々お待ちください」 「この件につきましては、私の判断では対応いたしかねますので、上司と相談させていただきます」
警告: 「これ以上続くようでしたら、然るべき対応を取らせていただくことになります」
実際の使用例:
患者さん:「お前の名前は何だ!いい加減な対応しやがって!」
あなた:「○○様、申し訳ございませんが、そのようなお言葉での対応は、私どもとしても対応いたしかねます。責任者からご対応させていただきたいと思いますので、少々お待ちください」
絶対にやってはいけないこと:
感情的に言い返す
一人で抱え込む
相手の要求をすべて受け入れる
対応を放置する
電話対応の特別テクニック
電話はなぜ難しいの?
「電話の方が、顔が見えない分楽じゃない?」って思うかもしれませんが、実は電話対応の方が難しいんです。
なぜかというと:
相手の表情が見えないので、どれくらい怒っているのか、本当に納得してくれたのかが分からない
声のトーンだけで判断しなければならないので、相手の気持ちを読み取るのが難しい
沈黙が不安になりやすく、つい早口になったり、余計なことを話してしまったりする
でも大丈夫。電話ならではのテクニックを使えば、むしろ対面よりもスムーズに対応できることもあるんです。
電話で使える「沈黙」の魔法
患者さんが怒りをぶつけている時、つい何か言葉を返したくなりますよね。
でも、ここであえて2〜3秒の短い沈黙を作ってみてください。
この沈黙には、こんな効果があります:
患者さんの怒りの勢いを弱める:一方的に話し続けるよりも、少し間を置くことで冷静になる時間を作れます
「真剣に聞いている」ことを伝える:すぐに返事をしないことで、「この人は私の話をしっかり考えてくれているんだな」と感じてもらえます
次の言葉を考える時間:あなた自身も、どう返事をするか考える時間ができます
電話での神フレーズ活用術
🎵 相づちは普段の1.5倍大きく
電話では、小さな相づちは相手に伝わりません。「はい」「ええ」「そうですね」を、普段より大きめの声で、はっきりと。
悪い例:「はい...はい...」(小さく、消え入るような声) 良い例:「はい!ええ、そうですね!」(明確で、安心感のある声)
🔄 復唱で安心感を与える
「○○ということですね」「つまり、○○でお困りということでしょうか?」
相手の言葉を繰り返すことで、「正しく理解していますよ」「あなたの話をちゃんと聞いていますよ」というメッセージを伝えられます。
🗣️ 声のトーンはワントーン下げる
興奮した相手に高い声で対応すると、火に油を注いでしまいます。普段より少し低めの、落ち着いた声で話しましょう。
📞 電話特有のフレーズ集
電話を受ける時: 「お忙しい中、お電話をいただきありがとうございます」 「お電話でのご相談ありがとうございます」
状況を確認する時: 「お電話では分かりにくい部分もあるかと思いますが、詳しくお聞かせください」 「恐れ入りますが、もう一度お名前をお聞かせいただけますでしょうか?」
説明が長くなる時: 「少し長くなりますが、詳しくご説明させていただきますね」 「お時間は大丈夫でしょうか?」
悪質クレーマー対策 - あなたを守る方法
「これって、普通じゃない」と感じたら
ほとんどの患者さんは、説明をすれば理解してくださる常識的な方です。でも、中には明らかに常識を超えた要求をしてくる方もいます。
そんな時は、「これは普通のクレームじゃない」と判断して、対応方法を変える必要があります。
業務妨害と判断する基準
以下のような場合は、遠慮なく「業務妨害」として対応しましょう:
暴言や人格否定 「バカ」「アホ」などの暴言や、あなたの人格を否定するような言葉
プライベートへの侵入 「お前の家はどこだ」「結婚してるのか」など、業務に関係ない個人情報を聞き出そうとする
長時間の拘束 1時間以上居座って、他の患者さんの迷惑になっている
威圧的な態度 身体的な圧迫感を与える、机を叩く、椅子を蹴るなど
不当な要求 「慰謝料を払え」「無料で診察させろ」「医師を替えろ」など、明らかに無理な要求
責任者にバトンタッチするタイミング
「もう無理かも」と感じたら、迷わず責任者に相談しましょう。
こんな時は即座に報告:
対応開始から15分経っても解決の糸口が見えない
相手が全く落ち着く気配がない
「責任者を出せ!」と言われた
あなた自身が怖いと感じた
個人では判断できない要求をされた
報告の仕方:
慌てる必要はありません。
「申し訳ございませんが、この件につきましては、責任者と相談させていただきたいと思います。少々お待ちください」
と言って、落ち着いて上司を呼びに行きましょう。
自分を守るための心構え
あなたは悪くありません。
悪質なクレーマーは、あなたを困らせることが目的だったり、無理な要求を通すためにわざと激しく怒ったりします。
そんな相手に、真面目に向き合いすぎる必要はありません。
「この人は特別な人だから、普通の対応じゃダメなんだ」
そう割り切って、システマティックに対応することが大切です。
リアル体験談 - 失敗も成功も全部話します
成功事例:怒りが感謝に変わった奇跡の瞬間
これは私が入職して半年くらいの時の話です。
ある日の午後、受付に駆け込んできた中年の男性患者さん。開口一番、
「なんでこんなに待たせるんだ!午後イチの予約だったのに、もう30分も待ってるじゃないか!」
と大声で怒鳴り始めました。周りの患者さんも振り返って、私は頭が真っ白に。
最初は「予約の方が多くて...」と説明しようとしたんですが、患者さんはさらに激怒。
「言い訳はいいんだよ!こっちは仕事を抜けて来てるんだ!」
その時、先輩から教わった言葉を思い出しました。
「大変お待たせして、申し訳ございませんでした。お忙しい中お越しいただいたのに、本当に申し訳ございません」
まず、深く頭を下げて謝罪しました。
「○○様のお気持ち、本当によく分かります。お仕事を抜けてお越しいただいたのに、このような状況で...。よろしければ、現在の状況をご説明させていただけませんでしょうか?」
最初は「説明なんかいらない!」と言っていた患者さんでしたが、私が落ち着いた声で話し続けると、だんだん落ち着いてきました。
そこで、現在の待ち状況と、あと何分くらいで呼ばれそうかを具体的にお伝えしました。また、もしお急ぎでしたら、次回の予約を優先的に取らせていただくことも提案しました。
すると患者さんは、
「そうか...そういう状況だったのか。きちんと説明してくれて、ありがとう。待たせてるのも分かってるんだね」
と言って、最後は笑顔で「ありがとうございました」と言ってくださいました。
この経験から学んだのは、相手の気持ちに寄り添うことの大切さでした。
失敗事例:たった一言で火に油を注いでしまった話
これは私の大失敗談です。今思い出しても赤面してしまいます。
ある日、薬の説明で不安になった患者さんから、
「この薬、副作用が心配なんです。本当に大丈夫ですか?前回の薬とは違うようですが...」
と心配そうに相談されました。
私は、患者さんの不安を解消しようと思って、
「はい、先生が処方したお薬ですので、間違いございません。ご心配には及びません」
と答えてしまったんです。
この一言で、患者さんは激怒。
「私は薬の心配をしてるの!あなたの態度が心配だって言ってるの!私の不安な気持ちを全然分かってくれてない!」
結局、その後30分以上、患者さんの怒りは収まらず、最終的に責任者に対応を代わってもらうことになりました。
どこが間違いだったのか:
患者さんは薬の安全性を聞いていたのではなく、不安な気持ちを聞いてほしかった
「間違いございません」という言い方が、患者さんの気持ちを否定しているように聞こえた
患者さんの立場に立って考えることができていなかった
正しい対応はこうでした:
「お薬のことでご心配をおかけして、申し訳ございません。確かに前回とは違うお薬ですので、不安になられるのも当然だと思います。詳しくご説明させていただきますね」
「先生に再度、副作用の内容など確認させていただきますね」
この失敗から、まずは相手の気持ちに寄り添うことが何よりも大切だということを痛感しました。
クレーム対応後のケア - あなたの心を守るために
正確な記録を残そう
クレーム対応が終わったら、必ず記録を残しましょう。これは、トラブルの再発防止だけでなく、あなた自身を守るためでもあります。
📝 記録テンプレート
【クレーム報告書】
日時:○月○日(曜日)○時○分〜○時○分
場所:受付・電話・診察室・相談室など
対応者:あなたの名前
患者情報:氏名・年齢・診察券番号(分かる範囲で)
【クレーム内容】
・どのような内容のクレームだったか
・患者さんの要求は何だったか
・どんな言葉を使っていたか
【対応内容】
・あなたがどう対応したか
・使った言葉やフレーズ
・提案した解決策
【結果】
・どのように解決したか(解決・継続・上司に引き継ぎなど)
・患者さんの最終的な反応
・他のスタッフの協力があったか
【今後の課題・改善点】
・同じことが起きないようにするには
・院内で共有すべきこと
・システムや対応方法の改善提案
【感想・学んだこと】
・対応で大変だったこと
・うまくいったと思うこと
・次回気をつけたいこと
記録を書くときのコツは、感情的にならず、事実を客観的に書くこと。でも、あなた自身の気持ちも大切なので、「感想」の欄には正直な気持ちを書いてくださいね。
あなたの心を守る5つの方法
クレーム対応で一番大切なのは、あなた自身の心を守ることです。
1. 客観的に捉える練習をしよう
「私が悪いんじゃない。相手の期待と現実がズレただけ」
これを心の中で唱えてみてください。
相手の怒りは、あなたという人間に向けられたものではありません。あくまで「期待していた状況と違った」ことに対する怒りです。
私も最初の頃は、「私の説明が悪かったんじゃないか」「私の態度が気に食わなかったのかな」と、すべて自分のせいにしてしまっていました。
でも、先輩に言われた言葉があります。
「あなたは患者さんの期待を裏切ろうと思って仕事してる?違うでしょ?なら、自分を責める必要はないよ」
この言葉で、ずいぶん楽になりました。
2. 対応後の気分転換は必須
クレーム対応が終わったら、必ず5分間だけでも席を外して気分転換をしましょう。
効果的な気分転換法:
深呼吸をする:鼻から4秒吸って、口から8秒で吐く。これを3回繰り返すだけで、緊張が和らぎます。
冷たい水を飲む:体を内側からクールダウンさせる効果があります。
手を洗う:「嫌な気持ちを洗い流す」という気持ちで、丁寧に手を洗ってみてください。
窓の外を見る:遠くの景色を見ることで、心も広がります。
甘いものを食べる:チョコレートやキャンディは、ストレスホルモンを下げる効果があります。
好きな音楽を聴く:イヤホンで1曲だけでも、心が落ち着きます。
3. 同僚や先輩と話す
辛かった経験は、一人で抱え込まないで同僚や先輩に話してみましょう。
「今日、こんなクレームがあって...」 「あの時、どう言えば良かったのかな」 「先輩なら、どう対応しますか?」
話すだけでも心が軽くなりますし、経験豊富な先輩からアドバイスをもらえることもあります。
私の職場では、クレーム対応の後に「お疲れさま会議」という名前で、みんなでお茶を飲みながら話す時間を作っています。
「辛かったね」「よく頑張ったね」「私もそういう経験あるよ」
そんな一言が、本当に大きな支えになります。
4. 家に帰ったら「仕事モード」をオフにする
家に帰っても、クレームのことが頭から離れなくて、夜眠れなくなってしまうこと、ありますよね。
そんな時は、意識的に「仕事モード」をオフにする習慣を作りましょう。
おすすめの「オフ」習慣:
玄関で深呼吸:「今日の仕事は終わり。お疲れさまでした」と心の中で自分に言ってあげる。
服を着替える:制服から普段着に着替えることで、心も切り替わります。
お風呂にゆっくり浸かる:温かいお湯で体も心もリラックス。
好きなことをする時間:読書、映画、音楽、料理など、仕事と全く関係ないことに集中する。
日記を書く:今日あった良いことを3つ書く。どんな小さなことでも大丈夫です。
5. 「完璧な対応」を目指さない
これが一番大切かもしれません。
すべてのクレームを完璧に解決しようと思わないこと。
時には、どんなに丁寧に対応しても納得してもらえないこともあります。それは、あなたの能力不足ではありません。
「私は精一杯やった。それで十分」
そう思えるようになると、心がずっと楽になりますよ。
上司や先輩にサポートを求める方法
「先輩に相談したいけど、忙しそうで声をかけにくい」 「上司に報告したいけど、怒られそうで怖い」
そんな気持ち、よく分かります。でも、一人で悩んでいても解決しません。
相談しやすい環境を作るコツ:
タイミングを見る:忙しそうな時は避けて、手が空いている時を狙う。
簡潔に要点を伝える:「○分ほどお時間をいただいて、相談があります」と最初に言う。
具体的に話す:「なんとなく不安」ではなく、「こういう対応で良かったか確認したい」と具体的に。
感謝の気持ちを伝える:「忙しい中、ありがとうございます」という一言を忘れずに。
患者さんとの信頼関係を築くために
クレーム対応は「関係構築」のチャンス
意外に思うかもしれませんが、クレーム対応は患者さんとの信頼関係を築く大きなチャンスでもあります。
なぜかというと、困っている時に親身になってくれた人のことは、ずっと覚えているからです。
私の経験でも、最初は激怒していた患者さんが、丁寧に対応した後で、
「あの時は、ありがとうございました」 「○○さんがいてくれて、安心しました」
と言ってくださることがあります。
「また来たい」と思ってもらえる対応
クレーム対応の最終的な目標は、患者さんに**「この病院なら安心」「また来たい」**と思ってもらうことです。
そのために大切なのは:
最後まで丁寧に:解決した後も、「何かご不明な点がございましたら、いつでもお声かけください」と一言添える。
次回への配慮:「次回お越しの際は、○○にお気をつけください」など、今後への気遣いを示す。
感謝の気持ちを伝える:「貴重なご意見をありがとうございました」「おかげで、私たちも勉強になりました」
予防は最大の対策
クレーム対応が上手になることも大切ですが、そもそもクレームが起きにくい環境を作ることはもっと大切です。
日頃からできる予防策:
待ち時間の説明:「現在○名の方がお待ちです」「あと○分ほどでお呼びできます」
声かけを増やす:「お疲れさまでした」「何かご不明な点はございませんか?」
表情を意識する:疲れていても、患者さんの前では笑顔を心がける。
先回りの説明:「お薬の説明をさせていただきますね」「検査の流れをご説明します」
チーム連携:スタッフ同士で情報共有して、患者さんを待たせないよう工夫する。せないよう工夫する。
専門用語を使わない、患者さん目線の説明術
「分からない」は患者さんの不安を増大させる
医療現場では、私たちにとって当たり前の言葉でも、患者さんには分からないことがたくさんあります。
患者さんが困惑する専門用語の例:
「診療報酬」→「診察料金」
「初診」→「初めての診察」
「再診」→「2回目以降の診察」
「紹介状」→「他の病院への紹介状」
分からない言葉を使われると、患者さんは不安になって、時にはそれがクレームにつながることもあります。
「伝わる説明」の5つのコツ
1. 小学5年生にも分かる言葉で話す
難しい言葉は、簡単な言葉に置き換えましょう。
悪い例:「診療報酬の算定により、初診料が加算されます」
良い例:「初めての診察なので、初診料という料金がかかります」
2. 数字や時間を具体的に示す
「少々お待ちください」ではなく、「5分ほどお待ちください」 「もうすぐです」ではなく、「あと2〜3名の方がお待ちです」
具体的な数字があると、患者さんは安心します。
3. 理由も一緒に説明する
「なぜそうなるのか」を説明すると、患者さんも納得しやすくなります。
例: 「お薬手帳をお持ちください。他のお薬との飲み合わせを確認するためです」 「保険証を確認させてください。正確な料金計算のためです」
4. 患者さんの立場で考える
「私が患者さんだったら、どう説明してもらいたいか?」を考えて話しましょう。
5. 確認を忘れずに
説明の後は、「何かご不明な点はございませんか?」と必ず確認しましょう。
ストレス管理とメンタルケア
クレーム対応は心の筋トレ
クレーム対応を続けていると、最初は本当に疲れますよね。でも、これは心の筋トレだと思ってください。
筋トレと同じで、最初はきついけれど、続けていくうちに必ず強くなります。
私も入職当初は、小さなクレームでも一日中落ち込んでいました。でも今では、「今度はどんな対応をしてみようかな」と、少し余裕を持って向き合えるようになりました。
自分なりのストレス発散法を見つけよう
人それぞれ、ストレス発散法は違います。あなたなりの方法を見つけてみてください。
私の同僚たちのストレス発散法:
Aさん(20代):帰りにカラオケで大声で歌う
Bさん(30代):家で料理に集中する時間を作る
Cさん(40代):週末にウォーキングで体を動かす
Dさん(50代):お風呂でアロマキャンドルを焚く
どれが正解ということはありません。あなたが「これをすると心が軽くなる」と感じることが、あなたにとってのベストなストレス発散法です。
「辞めたい」と思った時に読んでほしいこと
クレーム対応が続くと、「もう辞めたい」「この仕事、向いてない」と思うことがあるかもしれません。
私も何度もそう思いました。特に、一日に複数のクレームがあった日は、「なんで私ばっかり」と思って泣いたこともあります。
でも、そんな時に先輩から言われた言葉があります。
「クレーム対応ができるということは、コミュニケーション能力が高いということ。それは、どんな仕事でも役に立つスキルよ」
確かにそうだなと思いました。
クレーム対応で身につくスキルって、実はすごいんです:
傾聴力:相手の話を最後まで聞く力
共感力:相手の気持ちに寄り添う力
問題解決力:限られた条件の中で解決策を見つける力
感情コントロール力:自分の感情をコントロールする力
伝える力:相手に分かりやすく説明する力
これらは、どんな職場でも、どんな人間関係でも役に立つスキルです。
あなたは、毎日成長しています。
まとめ:クレーム対応は怖くない
長い文章を最後まで読んでくださって、ありがとうございました。
最初に言ったことを、もう一度お伝えします。
あなたは一人じゃありません。
クレーム対応で悩んでいるのは、あなただけではありません。全国の医療事務の仲間たちが、同じような経験をして、同じように悩んで、そして少しずつ成長しています。
このガイドに書いたフレーズやテクニックも、最初は使いこなせなくて当たり前。でも、少しずつ練習していけば、必ず自然に使えるようになります。
今日から始められる3つのこと
神フレーズを一つだけ覚える :まずは「ご不快な思いをさせてしまい、申し訳ございません」だけでも覚えてみてください。
相づちを意識する :患者さんの話を聞く時、いつもより少し大きめに「はい」「そうですね」と相づちを打ってみてください。
クレーム対応後は5分だけ気分転換 :対応が終わったら、必ず5分だけでも席を外して、深呼吸をしてみてください。
最後に、あなたにエールを送ります
医療事務として働くあなたは、患者さんの一番最初の窓口です。
あなたの笑顔で、不安な気持ちで来院された患者さんがホッとする。 あなたの丁寧な説明で、分からなくて困っていた患者さんが安心する。 あなたの誠実な対応で、怒っていた患者さんの心が落ち着く。
あなたの存在は、本当に大切なんです。
クレーム対応は確かに大変だけれど、それを乗り越えた先には、必ず成長した自分がいます。患者さんから「ありがとう」と言われる瞬間の喜びも、きっと感じられるようになります。
一歩ずつ、あなたのペースで大丈夫。
困った時は、このガイドを読み返してみてください。そして、周りの同僚や先輩にも遠慮なく相談してくださいね。
あなたなら、きっと素晴らしい医療事務になれます。
応援しています💙
この記事が少しでもあなたの心を軽くできたなら嬉しいです。
コメントで体験談や悩みを聞かせてくださいね。一緒に頑張りましょう。
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