「もう、辞めたいな」
仕事の帰り道、ふとそう思った瞬間、あなたの心に浮かぶのはどんな感情ですか? 「解放感」でしょうか。それとも、「罪悪感」でしょうか。
医療事務という仕事をしていると、退職を考えることに対して、異常なまでの後ろめたさを感じることがあります。
「今辞めたら、みんなに迷惑がかかる」 「ここで逃げたら、どこに行っても通用しない気がする」 「先輩に『これくらいで辞めるなんて甘えだ』と言われた」
…ちょっと待ってください。 その感覚、冷静に考えると、かなり「変」なんです。
今日は、医療業界に蔓延する「辞める=悪」という呪いについて、元採用担当の視点からメスを入れたいと思います。
「甘え」ではなく「キャリアの見直し」である
一歩、病院の外に出てみてください。 IT業界や一般企業において、転職はどのように扱われているでしょうか。
「もっとスキルアップしたい」
「給料を上げたい」
「今の環境は自分に合わない」
これらはすべて、前向きな「キャリアの見直し(再構築)」として捉えられます。誰も「逃げ」だなんて言いません。
しかし、なぜか医療事務の世界では、同じ理由でも「忍耐力がない」「無責任だ」と変換されてしまう。
これはあなたが弱いからではありません。 「自己犠牲」を美徳としすぎる業界の風土が、あなたの思考を歪めているだけなのです。
「私が辞めたら現場が回らない」は、あなたの責任ではない
「私が抜けたら、残った人の残業が増える…」 そう思って踏みとどまる人は、とても責任感が強く、優しい人です。
でも、あえて厳しいことを言わせてください。 それはあなたの責任ではなく、管理職(経営者)の責任です。
誰か一人が欠けただけで回らなくなる組織体制。 ギリギリの人員配置でコストを削っている経営判断。 それが原因であって、あなたが自分の人生を犠牲にしてまで穴埋めをする義理はありません。
あなたが辞めて現場が混乱したとしても、それは「組織が解決すべき課題」が表面化したに過ぎないのです。
「石の上にも三年」は、心身が健康な場合だけ
採用担当として多くの履歴書を見てきましたが、「短い期間で辞めている=ダメな人」と判断することは、今やほとんどありません。
むしろ、 「合わない環境で心身を病むまで我慢し続け、再起不能になる」ことの方が、よほどキャリアにとって致命傷です。
「逃げる」のではありません。「避難」するのです。
火事が起きている建物から避難する人を、「逃げた!甘えだ!」と責める人はいませんよね? もし今の職場が、あなたの心を焼き尽くすような環境なら、全力で逃げてください。それは立派な危機管理能力です。
さいごに:自分の人生の「主導権」を取り戻そう
「辞めたい」という感情は、あなたの心が発しているSOSであり、 「ここでは私は幸せになれない」という冷静な分析結果でもあります。
その直感を、「甘え」という言葉で押し殺さないでください。
仕事は、人生の一部に過ぎません。 他業種の人が当たり前にやっているように、私たち医療事務も、もっとドライに、もっとわがままに、自分のキャリアを選び取っていい。
「辞めます」 その一言は、誰かへの裏切りではなく、あなた自身を大切にするための「宣言」なのですから。
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