面接という緊張する場所で、「もし患者さんからお叱りを受けた時、どうしますか?」と聞かれたら。

医療の知識がないから、気の利いた解決策なんて言えない。どうやってその場を収めればいいのかわからない。そんなふうに、つい言葉に詰まって焦ってしまうかもしれません。

でも、どうか安心してください。
面接官は、未経験の方に「完璧な問題の解決策」など求めていません。

実はこの質問、面接官に「この人は落ち着いて、相手と真摯に向き合える人だ」「絶対に現場で活躍できる」と心から信頼してもらえる、絶好の機会なんです。

26歳で未経験から医療事務の世界へ飛び込んだ私も、最初は面接で何を言えばいいのか深く悩んでいました。ですが、この質問に対する「ある答え方」のおかげで、張り詰めた面接の空気をふっと温かくし、面接官に頼もしい印象を持っていただけたんです。

「とにかく謝る」が一番の落とし穴

よく面接で、「お叱りを受けたら、とにかく誠心誠意あやまります」と答える方がいます。一生懸命さが伝わる良い答えのように思えますが、実は医療の現場では、少し危うい対応と受け取られてしまいます。

なぜなら、病院にいらっしゃる方は「ただ謝ってほしい」わけではないからです。
お身体が辛かったり、病気へのご不安があったりする中で、「今の自分の状況をわかってほしい」「どうなっているのか事実を知りたい」という切実な思いから、厳しいお言葉を口にされています。

理由もわからずただ平謝りすることは、かえって「本当にわかっているのか」と、お気持ちを逆撫ですることになりかねません。

解決策よりも大切な、2つのステップ

では、どう答えれば面接官の心をグッと掴むことができるのでしょうか。

当たり前のことかもしれませんが、意外とできていません。

…それは、急いで解決策を出す前に、「お気持ちの把握」と「状況の把握」の2つを、必ず合わせて伝えることです。

医療の知識がないうちは、自分ひとりで問題を解決することはできません。だからこそ、まずは目の前にいる方のお話を聴き、何が起きているのかを正しく知る姿勢が何よりも大切になります。

面接の場では、ぜひ以下の具体的な事例を参考に、ご自身の言葉で伝えてみてください。

事例1:「待ち時間が長い」とお叱りを受けた場合

病院で最も多いのが、待ち時間に対する厳しいご意見です。
この場合、ただ「申し訳ございません」と謝るだけでなく、面接ではこう答えます。

「まずは『お辛い思いをさせて申し訳ございません』と、お待たせしているご不安やお怒りのお気持ちをしっかりと受け止めます。

その上で、ただ謝るだけでなく、『いつからお待ちいただいているか』『お加減は悪くなっていないか』など、現在の状況を正確に確認します。

お気持ちと状況の両方を正しく把握してから、すぐに看護師や責任者に報告し、あとどのくらいでお呼びできるかの目安をお伝えするなど、少しでもご安心いただけるよう努めます」

事例2:「お会計が高い、間違っている」とお叱りを受けた場合

お金に関するご指摘も、受付ではよく起こります。ここでは「一人で勝手に判断しない誠実さ」を伝えます。

「お金のことは非常に大切ですので、ご不安になられるのは当然だと思います。ですので、まずは『ご不安な思いをさせてしまい、申し訳ございません』とお気持ちに寄り添います。

その上で、自分の判断だけで『間違っていません』『すぐにお直しします』とお答えするのではなく、領収書や明細書を拝見し、どこに疑問を持たれているのかという状況を丁寧に確認します。

お話を正確に聞き取った上で、『すぐに責任者に確認してまいります』とお伝えし、正しいご案内ができるよう行動します」

事例3:「後から来た人が先に呼ばれた」とお叱りを受けた場合

医療現場では、急患や予約の都合で、ご案内の順番が前後することがよくあります。ここでも冷静な対応が光ります。

「まずは『ご不快な思いをさせてしまい、誠に申し訳ございません』と、順番を飛ばされたと感じた悲しいお気持ちを受け止めます。

そして、お声がけいただいた方のカルテや予約の状況、診察室の状況を速やかに確認します。

事実を把握した上で、上の人に相談し、『急を要する患者さんの処置を優先させていただきました』など、ご納得いただけるよう誠実にご説明をいたします」

これまでの人生経験が、一番の武器になる

いかがでしょうか。
ただ平謝りするだけではない、この「お気持ちと状況を確認する」という冷静な姿勢が、面接官に大きな安心感を与えます。

「自分ひとりで抱え込まず、まずは相手の話を聴き、事実を確認して、周りに相談する」。
これは特別な医療の知識ではなく、あなたがこれまでの社会人経験の中で、当たり前のように大切にしてきたことのはずです。

医療用語は、働き始めてからいくらでも覚えられます。
大切なのは、目の前で困っている人に寄り添おうとする素直な心です。

あなたがこれまでの人生で培ってきた、優しさや気配りがそのまま活きる、面接で一番の見せ場になります。どうかご自身のこれまでの経験に自信を持って、前を向いて伝えてみてくださいね。心から応援しています。

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